研究課題
若手研究(B)
『腎臓の老化』に関する前向き臨床研究に関しては当初の予定通り合計28例のエントリーを得、サンプルの回収を進めている。一方、虚血再灌流障害におけるCyclin Dependent Kinase (CDK)であるp21の役割を解明するために動物実験も行った。この結果、p21はアポトーシスを抑制させることで臓器保護効果を持つことが明らかになった。一方、これまでに当院で施行した症例を用いて、後ろ向きに解析を行った。この結果、微量アルブミン尿以下の正常高値アルブミン尿の段階からすでに高血圧性腎硬化症の所見を認めることを明らかにした。一方、摘出腎腎生検(0時間腎生検)の解析では、高血圧の有無にかかわらず、移植する腎臓に動脈硬化(小葉間動脈の線維性内膜肥厚)が存在すると、提供したドナー自身の腎機能は保たれるが、動脈硬化のある腎臓の提供を受けたレシピエントの移植腎機能は低値で推移することを報告した。これは動脈硬化や高血圧のある腎臓ではすでに尿細管の老化が始まっているため、生体腎移植という虚血再灌流障害に対して、急性尿細管壊死の影響が老化の進んでいる腎臓では出やすいためと考えられた。その他、ドナー腎に認められるIgA沈着はIgA腎症に進展する疾患ではなく移植腎予後に影響を与えないこと、腹膜透析患者では血液透析患者と比較して体液過多であり免疫抑制剤の吸収効率が低下することを示した。
2: おおむね順調に進展している
合計60名のエントリーを予定しているが、現在までに28例のエントリーを得ている。動物実験に関しては、当初の予定を若干変更して進捗している。
症例数の確保のため、今後も腎臓内科からのリクルートはもちろん、県内各施設からの移植症例の紹介を増やすために講演活動を行っている。サンプルの測定は条件を均一にした測定が必要であるため、すべての症例が集まったのちに検討を行う予定である。動物実験に関しては、薬理学西山教授の指導を得ながら進めている。
尿中AGTキット、P16、21染色キット、SA-β-GAL染色抗体などの測定キット 400,000英文校正 300,000旅費 300,000
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Clinical and Experimental Nephrology
巻: 17 ページ: 743-749
10.1007/s10157-012-0764-6
American Journal of Nephrology
巻: 36 ページ: 127-135
10.1159/000340035
The Tohoku Journal of Experimental Medicine
巻: 228 ページ: 333-339
unknown
血圧
巻: 19 ページ: 764-765