研究概要 |
『腎臓の老化』に関する前向き臨床研究に関しては当初の予定から若干の遅れはあるが、合計30例のエントリーを得、サンプルの回収を進めている。一部の症例は3年目の検討も行っており、プレリミナリーな検討では、高血圧を有するドナーは高血圧を有さないドナーと比較してP16INK4AあるいはSA-β-GALの尿細管細胞や糸球体上皮細胞への染色を認め、腎機能低下や検尿異常の出現前から尿細管の老化が始まっていることが確認された。 一方、これまでに当院で施行した症例を用いて、後ろ向きに解析を行った。この結果、微量アルブミン尿以下の正常高値アルブミン尿の段階からすでに高血圧性腎硬化症の所見を認め、さらに腎提供後の腎機能回復率が悪いことが示された。この成果は論文にて報告済である[Sofue T, Inui M, Hara T, Moriwaki K, Kushida Y, Nishiyama A, Kakehi Y, Kohno M. Short-term prognosis of living-donor kidney transplantation from hypertensive donors with high-normal albuminuria. Transplantation 2014; 97(1):104-110]。また、この結果は生体腎移植ドナー選定基準の生体腎移植のドナーガイドライン(案)にも採用された。
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