研究課題/領域番号 |
24791654
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
島本 力 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (10600794)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / 血管新生 / チロシンキナーゼ阻害剤 / 耐性 |
研究概要 |
外科手術不能転移性腎細胞癌に対してtyrosine kinase inhibitor(TKI)を含めた分子標的治療が第1選択とされつつある。一方で、TKIの効果は限定的であり、耐性機序は解明されていない。我々はこれまでTKI耐性転移性腎細胞癌の患者から新たな細胞株を樹立し、複数の染色体異常から各種血管新生因子が著明に高発現していることを確認した。このことより、TKI耐性機序の一つとしてhyperangiogenesisが関連していると考えられた。本研究では、この細胞株を用いて、TKI耐性獲得の機序を解明するとともに、より高発現している血管新生因子を選択し、次なる標的分子を同定することで、より効果のある治療を行っていくことを目的としている。 TKI耐性転移性腎細胞癌の患者から樹立した細胞株はin vitroにおいて、Sorafenibに対して耐性を示した。一方、本細胞ををマウスの腎臓に同所移植をし、Sorafenib強制経口投与を連日行った結果、Sorafenibによる明らかな抗腫瘍効果が認められた。つまり、in vivoでの耐性は認められなかった。また、本細胞はin vitroでの培養で、Sorafenib暴露を一定期間休止すると、Sorafenib細胞増殖抑制効果が可逆性に復帰した。このことから癌細胞自身によるTKI耐性機序は可逆性であることが示唆された。TKIリチャレンジ効果のひとつの機序の可能性がある。また、これらの結果から微小環境による耐性機序も示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TKI耐性患者から樹立した細胞株において、in vitro耐性が確認されたにもかかわらず、in vivo同所移植モデルでは、耐性が解除されていたことは予想外の結果であった。以上の事実から、耐性機序の可逆性と微小環境変化による耐性機序のふたつの側面から再考する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
上記の結果から、耐性機序として可逆性と微小環境変化を考慮する。耐性時と耐性解除時で比較検討することで、可逆耐性機序を解明する。このことで、耐性をコントロールする因子を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Micro array試薬、plasmid調節、shRNA試薬、RT-PCR試薬、抗体製作、免疫組織化学試薬、実験動物および飼料等
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