• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

二分岐軸策による膀胱皮膚二重投射の尿意誘発メカニズムの解明と臨床的意義の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24791664
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

柴田 泰宏  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10534745)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード二分岐軸索 / 過活動膀胱 / 皮膚 / 尿意
研究概要

外気温の変化や皮膚への物理的な刺激によって尿意切迫感や膀胱の無抑制収縮が誘発されることが知られているが、そのメカニズムは不明であった。私たちはこれまでに膀胱と皮膚へ二重に軸索を投射する神経、つまり二分岐軸索を持つ後根神経節神経細胞が存在し、関連痛と類似の神経回路を形成することを解明した。この神経回路により、皮膚への刺激の一部が中枢で尿意と混同される可能性があり、寒冷刺激などが尿意切迫感を誘発するメカニズムの一端を担うと推察される。これらの研究結果を踏まえて、今回の研究では、この神経回路上の尿意に関連した分子のさらなる解析を行うことにより、外的な刺激が尿意切迫感を引き起こすメカニズムを解明することを目的とした。
私たちはこれまでに、膀胱と皮膚へ二分岐軸索を投射する後根神経節細胞の同定のために、逆行性神経トレーサーを使用する同定方法を確立し、この二分岐軸索を介した末梢での膀胱の知覚と皮膚の知覚の一部が混同され、分離不可能な状態にあることが普遍的に生じていることを確認した。
この二分岐軸索を持つ神経細胞体がもつ感覚受容体の分布を検討するため、in situ hybridization法をもちいた三重染色を計画し、その実行に向けて特異的な一本鎖RNAプローブの作成を進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二分岐軸索の同定方法は確立され、野生型の実験動物(ラット)に恒常的に二分岐軸索を持つ後根神経節細胞があることが確認された。今後、この神経細胞体における感覚受容体の発現様式、分布についての検討を、免疫組織化学法をもちいて、また、特異的な抗体が得られない場合には、in situ hybridization法をもちいて行う予定である。

今後の研究の推進方策

今後、膀胱支配知覚領域の皮膚への刺激が排尿機能に与える影響の検討をおこなう。膀胱へ投射する二分岐軸索はL6-S1の皮膚分節へ他方の軸索を投射していると考えられることから、L6-S1の皮膚分節に対する皮膚への刺激による排尿機能の変化、具体的には膀胱内圧測定、排尿記録の変化を検討することによって二分岐軸索の関与を間接的に検討する。具体的には、L6-S1に刺激を加え、対照として同領域にテトロドトキシンなどの軸索伝導をブロックする薬剤を投与し、皮膚への刺激が排尿機能に変化を与えるかどうかについて、その影響を観察する。また、上記実験系においては、二分岐軸索を介さない自律神経反射による全身の内臓機能の変化が膀胱機能の変化として現れている可能性が除外できないため、L6-S1に刺激を加え、対照としてL6-S1以外の皮膚分節を刺激し比較する。これにより皮膚刺激による自律神経反射の表れとしての排尿機能への影響がどの程度含まれるのかを考慮する。刺激の種類としては寒冷刺激の他に、触・圧覚、痛覚、TRP family関連アゴニスト(カプサイシン、4αPDD、酸刺激等)を候補とする。

次年度の研究費の使用計画

消耗品費として、本研究は疾患モデルを用いた実験を行うため、実験動物の購入が必要である。分子生物学的解析のため、二次元電気泳動、PCR、RT-PCR、免疫組織染色、in situ hybridization法・遺伝子発現の定量・siRNA、細胞培養などの手技に必要な一連の消耗品の購入費用を要する。研究成果の発表のため、国内旅費・海外旅費・学会参加費として、日本泌尿器科学会総会、日本泌尿器科学会中部総会等など国内関連学会および、米国泌尿器科学会、国際泌尿器科学会など国外の関連学会での発表を予定している。その旅費、滞在費および学会参加費の一部に用いる。本研究では実験を効率的に行うために実験員の雇用を予定している。このため、人件費並びに謝金を必要とする。その他、当施設においては、敷地内に動物飼育専用の実験動物施設を有しており、実験動物はそこで飼育管理する。上記動物の飼料代として必要である。また、研究成果を論文の形で発表するため、英文校正、別刷りなどの諸経費を要する

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 過活動膀胱発症における膀胱上皮下KIT陽性間質細胞の意義2012

    • 著者名/発表者名
      窪田 泰江、小島 祥敬、佐々木 昌一、濱川 隆、柴田 泰宏、井村 誠、郡 健二郎
    • 雑誌名

      排尿障害プラクティス

      巻: 20 ページ: 24-31

  • [学会発表] 前立腺肥大症の誘因物質としてのGDNFの可能性2012

    • 著者名/発表者名
      柴田 泰宏、佐々木 昌一、窪田 泰江、濱川 隆、早瀬 麻沙、井村 誠、小島 祥敬、郡 健二郎
    • 学会等名
      第19回日本排尿機能学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(名古屋)
    • 年月日
      20120829-20120831
  • [学会発表] Primary sensory neurons innervating the urinary bladder express T type Ca channel modulating the function of the bladder contractions in cystitis.2012

    • 著者名/発表者名
      Shibata Yasuhiro, Hamakawa Takashi, Imura Makoto, Mizuno Kentaro, Kubota Yasue, Kojima Yoshiyuki, Tozawa Keiichi, Sasaki Shoichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro
    • 学会等名
      American Urological Association Annual Meeting
    • 発表場所
      Atlanta, USA
    • 年月日
      20120519-20120524
  • [学会発表] 間質優位前立腺肥大症モデルにおけるGDNFの発現2012

    • 著者名/発表者名
      柴田 泰宏、濱川 隆、早瀬 麻沙、井村 誠、窪田 泰江、小島 祥敬、佐々木 昌一、林 祐太郎、郡 健二郎
    • 学会等名
      第100回日本泌尿器科学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      20120421-20120424

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi