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2012 年度 実施状況報告書

前立腺肥大症発症における炎症性サイトカインIL-18の関与とそのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24791665
研究種目

若手研究(B)

研究機関名古屋市立大学

研究代表者

濱川 隆  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (40595394)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード前立腺肥大症 / 炎症 / IL-18
研究概要

1. 間質優位型前立腺肥大症モデルラットの作成:7週齢雄SDラットに、泌尿生殖洞(UGS)を移植し、ヒト前立腺肥大症に組織学的に類似した間質肥大優位のモデルラットを作成することが、安定して可能になった。
2. モデルラット、ヒト前立腺肥大(BPH)組織におけるIL-18の発現、細胞内シグナル伝達経路の変動の検討:①正常前立腺、BPH組織を用いて定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングを施行したところ有意差は出なかったが、BPH組織においてIL-18の発現が強い傾向であった。②モデルラット、ヒト前立腺組織で免疫染色を施行したところ、ラット、ヒトともにBPH組織の腺上皮と一部の間質にIL-18の発現が認められた。またヒト前立腺組織では、IL-18受容体が正常前立腺、BPHの両方の間質にのみ発現していた。
3. ヒト正常前立腺培養細胞に対するIL-18の直接的作用の検討:確立されたヒト前立腺培養細胞を用いて研究を行った。ヒト正常前立腺間質細胞(PrSC)、前立腺平滑筋細胞(PrSMC)を各種培地で培養し、実験を行った。①IL-18の前立腺細胞の増殖能への影響を検討するために、対照群、IL-18投与群に分け、各濃度に振り分けたIL-18を投与しWST asseyを行った。どちらの細胞でも、IL-18による直接的な増殖能の亢進は見られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究予定では今年度は以下の計画を予定していた。
1. 間質優位型前立腺肥大症モデルラットの作成。 2. モデルラット、ヒト前立腺肥大組織におけるIL-18の発現、細胞内シグナル伝達経路の変動の検討①ヒト前立腺肥大組織でのIL-18のmRNA、タンパクの発現の観察。②モデルラット、ヒト前立腺肥大組織での免疫染色によるIL-18、IL-18受容体の局在の検討。③IL-18が誘導するシグナル伝達を検証するため、モデルラット、ヒト前立腺肥大組織でのウエスタンブロッティングによるPI3K/Akt経路、NF-kappaBのタンパク発現の検討。3. ヒト正常前立腺培養細胞に対するIL-18の直接的作用の検討①IL-18の前立腺細胞の増殖能への影響を検討するために、対照群、IL-18投与群に分け、各濃度に振り分けたIL-18を投与しWST asseyを行う。②細胞内シグナル伝達経路に対する影響を検討するため、対照群、IL-18投与群に分け、各濃度のIL-18を投与する。投与6時間後、12時間後、24時間後に細胞を回収、RNA、タンパク質を抽出し、前述した細胞内シグナル伝達経路について、定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングを行い、その変動とリン酸化活性について検討する。
これらのうち、1. 2.①②、3.①は達成できた。2.③、3.②については現在施行中であり、結果も出始めている状態である。
このことから、やや遅れはあるもののおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

現在は前立腺肥大症モデルラットの作成手技が安定したため、これらを必要数作成していく。並行して、ヒト前立腺肥大症あるいはヒト正常前立腺の検体の採取をすすめていく。
また、前立腺培養細胞を用いた実験系が確立したため、これらを用いて前年度で施行できなかった、定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングも併せて施行していく。
次年度の研究計画では1. モデルラットへのIL-18、抗IL-18抗体等の投与による前立腺肥大症発症の検討。2. ヒト前立腺培養細胞に対するIL-18投与による胎生期遺伝子発現の検討を予定している。まず1)についてはモデルラット作成後に、浸透圧ポンプを用いてIL-18の投与を予定している。しかしこのモデルについては浸透圧ポンプを用いた投与方法が確立しておらず、まず投与方法の確立を目指す。その後、IL-18や抗IL-18抗体の投与を行い、前立腺肥大症発症に対する影響を検討する。また、並行して2. の培養細胞を用いた実験を行う。これについては実験系が確立されているため、候補となる遺伝子をあげ、それに対して定量RT-PCR等でIL-18投与によるその発現の変化を検討する。
適宜、研究分担者、指導者とディスカッションを行いながら、予定したとおりの研究計画が遂行できるよう、適宜結果の評価、計画の修正を行っていく。

次年度の研究費の使用計画

実験動物購入費として前立腺肥大症モデルラットが必要となる。その購入費、飼育のための費用が必要となる。試薬類は主にいわゆる分子生物学的解析(PCR、RT-PCR、ウエスタンブロットなど)を行う際に使用する試薬が必要となる。またモデルラットに薬剤を投与するための浸透圧ポンプや投与に用いる試薬、抗体等が必要となる。
また、日本泌尿器科学会総会、日本排尿機能学会等の国内学会やAmerican Urological Association annual meeting、International Continence Society等の国際学会に参加して、適宜研究成果を発表していく予定であり、旅費、滞在費および学会参加費の一部が必要である。また上記学会のために英文添削料や研究発表のための論文投稿料が必要である。
本研究を施行するに当たって、おもに実験動物管理または分子生物学的解析を行う研究助手を雇用するため、一定の謝金が必要となる。

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公開日: 2014-07-24  

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