研究実績の概要 |
[1]腎結石形成モデル動物に対するTRPV1作動薬の投与と結石予防効果の検証 昨年、報告したように、TRPV1(作動薬として投与を予定していた8-methyl-N-vanillyl-6-nonenamide (Capsicine)は、投与によってマウスの食欲低下・体重減少が著しく、死亡が相次いだ。このため本研究のTRPV1作用経路上にある、CGRP(calcitonin gene related to peptide)およびIGF1(Insulin like growth factor-1)促進作用を持つGreen Tea(GT)およびRooibos Tea(RT)を飲水させた実験が終了した。Control(シュウ酸前駆物質エチレングリコール(EG)投与)群と、EG+GT, EG+RTを比較したところ、尿量・尿生化学、CaOx index, CaP indexに有意差はなかったが、尿中結晶数のみEG+GT, EG+RT群で有意に減少した。今後尿中酸化ストレス関連因子の測定を加え、論文化していく。 [2]遺伝子改変マウスを用いた検討 CGRPノックアウトマウスに系統維持に困難な事象が発生したため、同様に酸化ストレスによるミトコンドリア傷害の要因となるmPTP(mitochondrial permeability transitional pore)の構成要素であるcyclophilin Dに着目し、cyclophilin Dの抑制作用を持つcyclosporine A, NIM-811を用いて結石が抑制できることを証明したことを報告した。昨年、このcyclophilin Dノックアウトマウス(CpD-/-)に対する腎結石形成研究を行い、CpD-/-はCpD+/+と比較して、結石形成が少ないことが示された。また電子顕微鏡による観察でも、CpD-/-でミトコンドリアの崩壊像はCpD+/+と比較して軽度であった。現在この結果を論文化中です。
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