研究概要 |
これまでのミニブタに比べて小型化したマイクロミニブタが最近、開発され、さまざまな実験に用いられている。特に、マウスやラットなどのげっ歯類に比べて、高等な動物である。よりヒトに近い性質を持ち合わせており、研究成果がそのまま、ヒトに応用できる可能性を秘めている。このマイクロミニブタを用いた幹細胞の研究を積極的に行っている。 全身麻酔下のマイクロミニブタの皮膚を採取し、繊維芽細胞を樹立した。生後9か月のオスおよびメスの個体を用いた。 マイクロミニブタ由来繊維芽細胞にセンダイウイルスを用いて、iPS細胞の誘導に必要な、KLF4, OCT4, SOX2, C-MYCを導入した。数日間は、通常の培養法で培養し、6日目あたりで、マウス胎児繊維芽細胞上のまきなおし、ヒトES細胞と同様の条件方法で培養を行った。21日過ぎより、円形で扁平状のコロニーが出現し、30日くらいで、コロニーをピックアップし、別のマウス胎児繊維芽細胞のシャーレに移した。ヒトES細胞条件で培養を続け、マイクロミニブタiPS細胞を樹立した。オスおよびメスからiPS細胞に成功した。導入した遺伝子の消失をRT-PCRにて確認した。また、In vitroでの三胚葉の分化を確認し、多能性を証明した。 生殖細胞への分化を目標としているが、まずは、組織分化の検討で、心筋細胞への分化を試みた。ヒトiPS細胞における心筋細胞への分化と同様の方法で、誘導を試みた。しかし、マイクロミニブタiPS細胞から、拍動する心筋細胞の誘導はみられなかった。ヒトとの違いによるものが誘導できなかった原因かどうか検索中である。
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