研究実績の概要 |
非閉塞性無精子症であるクラインフェルター症候群の患者にmicro TESEを施行した際に、精巣組織を採取し、そこから繊維芽細胞を樹立した。センダイウイルスを用いて、Oct4, Sox2, Klf4, C-mycを導入し、iPS細胞の誘導を試みた。実験開始後より、3週間後に、ES細胞によく似た扁平状のコロニーがみられ、ES細胞と同じ条件下で培養することができた。細胞の性質を調べるために、RT-PCRや免疫染色をおこない、多能性のマーカーの発現を確認した。また、多能性を確認するため、in vitroおよび、in vivoにて解析をおこない、in vitroでは、三胚葉の分化を確認した。また、in vivoでは、免疫不全マウスの精巣内にこられの細胞を移植し、3カ月後に奇形種の形成を確認。病理検査にて三胚葉の分化を確認した。また、in vitroにて心筋細胞への分化誘導を試みて、実験開始より、2週間後に、拍動性のもつ細胞を確認し、心筋細胞への誘導を確認した。クラインフェルター症候群由来のiPS細胞から心筋細胞への分化は、世界でも報告がなく、我々が世界に先駆けて行なった結果である。これまでの研究にて、高品質のiPS細胞の誘導に成功し、今後は、男性不妊症の疾患iPS細胞を誘導および、解析をおこなうことにより、男性不妊症の解明を目指していきたい。
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