研究課題
若手研究(B)
進行前立腺癌に対する現在の標準治療であるアンドロゲン除去療法(ADT)を実施すると、ADTによる治療奏効が数年間は持続するもののやがては、テストステロン値が去勢レベルであるにも関わらず、ADT単独では腫瘍の悪性化をコントロールできない段階、すなわち去勢抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer; CRPC)に進行する。CRPCは去勢後もアンドロゲン産生・代謝経路(androgen axis)に依存しつづけ、治療に抵抗性であり、化学療法で生存期間を改善することは困難である。このCRPCに至るメカニズムの解明はウロ・オンコロジストの積年の課題である。申請者らは翻訳後修飾タンパク質である低分子ユビキチン様修飾因子=Small Ubiquitin-related Modifier(SUMO)がAndrogen receptor(AR)活性化のみならず“androgen axis”に重要な働きを担うことに注目し、SUMOシステムを制御することで前立腺癌の発育をコントロールすることを証明し、CRPCの治療応用に繋げることを目標とする。
2: おおむね順調に進展している
前立腺癌に限らず種々の細胞培養を通して細胞ストレスの実験の準備を行っている。また、マウスの実験に取り掛かる過程にもある。
SUMOの恒常性維持が多くの癌で失われていることが知られてる。SUMO化の過程にはE2結合タンパク質とE3リガーゼの協調的な作用を必要とする。SUMO化のE2リガーゼであるUbc9はいくつかの癌での発現が知られており、初期の研究でもUbc9を癌治療のターゲットにする試みがなされている。SUMO化のE2リガーゼを発現調節することは細胞内の全てのターゲットをSUMO化することに他ならないが、もしSUMO化を特定の癌化シグナル分子に限定して行うことが可能であれば癌化の制御と癌治療が可能となることは間違いない。この点に着目し、SUMO化と癌の悪性度の関連を明確にする予定である。
該当なし
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J Oncol
巻: 1 ページ: 1-5
10.1155/2012/397267