研究課題
翻訳後修飾タンパク質SUMOは、核内構造体タンパク質、クロマチンタンパク質、シグナル伝達因子等を修飾し、多くの生命活動の制御に役割を果たす。SUMOの翻訳後修飾機構が、細胞の環境応答や核機能に役割を担うことで染色体の不安定化をSUMOが防ぎ、癌化を抑制する可能性さえある。また癌化後も数多くの癌でSUMOの恒常性維持が失われていることは重要な点である。SUMO化の過程にはE2結合タンパク質とE3リガーゼの協調的な作用を必要とする。SUMOE2リガーゼであるUbc9はいくつかの癌での発現が明らかとなっており、初期の研究でもUbc9を癌治療のターゲットにする試みがなされている。SUMO化のE2リガーゼを発現調節することは細胞内の全てのターゲットをSUMO化することに他ならず、単純にUbc9を発現調節するだけでは癌治療に直結する成果には繋がらない。ところがSUMO化を特定の癌化シグナル分子に限定して行うことが可能であれば癌化の制御と癌治療が可能となる。
2: おおむね順調に進展している
動物モデルとして、前立腺癌のモデルマウスのみならず、教室内で尿路上皮癌の同所異種移植モデルを確立するにいたった。具体的にはマウスを麻酔下に開腹し、200,000個の癌胞癌株253J B-Vを50μLのマトリジェルに懸濁後、膀胱壁に移植し、ヒト膀胱癌同所異種移植モデルを確立した。麻酔として塩酸メデトミジン0.3mg/kg+ミダゾラム4mg/kg+酒石酸ブトルファノール5mg/kg になるように生理食塩水で希釈し、腹腔内注射する。当科で施行したpreliminaryな実験で凡そ4週で数ミリ大の腫瘍を形成することをすでに確認できた。
泌尿器癌の同所異種移植モデルを確立したことで、薬剤治療の効果をin vitroのみならずin vivoで確認できる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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