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2012 年度 実施状況報告書

WT1の新規標的分子としての可能性:卵巣癌発がんと薬剤抵抗性機序への関与

研究課題

研究課題/領域番号 24791680
研究機関山形大学

研究代表者

太田 剛  山形大学, 医学部, 助教 (50375341)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードWilms' tumor 1 / 卵巣癌 / 発がん / 薬剤耐性
研究概要

Wilms’ tumor 1 (WT1)遺伝子は卵巣癌、特に高悪性型漿液性腺癌で高頻度に発現している。WT1はRNA splicingを受けexon5 (17AA)とexon9,10間の3つのamino acids (KTS)の有無によって4つのisoformがあり、isoformによりapoptosis誘導や上皮間葉移行機能が異なると報告されている。今年度我々は、卵巣癌におけるWT1 isoformの発現と腫瘍産生能について検討した。
WT1未発現である卵巣癌細胞株SKOV3細胞に、4つの各isoform (17AA-/KTS-, 17AA+/KTS-, 17AA-/KTS+, 17AA+/KTS+)をレンチウイルスベクターにより導入し、各isoformが過剰発現する細胞株を樹立した。コントロールは空ベクターを導入した細胞株とした。5つの細胞株を4~6週令のメスヌードマウスに接種し、35~40日目に安楽死させ、腹水産生量と腫瘍重量を比較した。腹水産生量、腫瘍重量共にコントロールに比較して、isoform A(17AA-/KTS-)で有意な増加を認めた。他のisoformはコントロールと比較して有意さを認めなかった。
現在、WT1 isoform Aにより誘導されるcell cycle, apoptosis関連遺伝子とoncogeneを検討中である。さらに卵巣上皮細胞(ovarian surface epithelial cell (OSE))に WT1 isoform Aを導入して、癌細胞としての性質をもつか検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、本研究ではヒト卵管上皮細胞株(FTSEC: fallopian tube secretory epithelial cell)の樹立したうえで、卵巣癌における発がん機構を検討する予定であったが、この細胞株の樹立は非常に困難であり、卵巣上皮細胞(OSE)を用いて実験を行うこととした。
WT1 isoformの機能解析として現在までは、WT1 isoform Aを過剰発現されることにより腫瘍産生能が亢進することが分かったため、WT1 isoform Aが発がん機構に関与している可能性が高いと考え、OSEにレンチウイルスベクターにより WT1 isoform Aを導入、過剰発現させることで、当初の目的であるWT1遺伝子が卵巣癌発がんのdriver geneとなり得るのかを検討したい。これは十分実験可能な計画であり、おおむね順調に進展していると自己評価する根拠である。

今後の研究の推進方策

現時点でWT1 isoform Aを過剰発現させることにより、腫瘍産生能が亢進することが分かっている。さらにOSEではWT1が発現していることをimmunoblotで確認している。しかし、OSEにおける4つの WT1 isoformの発現割合は分かっていない。この4つの WT1 isoformの割合が腫瘍の悪性度と関連があり、さらにWT1 isoform Aが卵巣癌発がんのdriver geneとなるのではないかと我々は予測している。この仮説を検討するため次の実験を計画している。1.OSEのWT1 knock outとWT1 isoform Aの過剰発現:WT1 shRNAをもちいてすべてのWT1 isoformの発現を消失させる。この細胞株にレンチウイルスベクターを用いて再度 WT1 isofrom Aを過剰発現させることにより、OSEが癌細胞としての性質を持つようになるが検討する。2.WT1 isoform A過剰発現OSE細胞をマウス腹腔内に接種し、腫瘍形成を認めるか否かの検討:対象としてはWT1遺伝子のknock outを行っていないOSEとWT1遺伝子の knock outをWT1 shRNAで行い、空ベクターを導入したOSE細胞を用いる。この2細胞株では腫瘍の形成は認めない可能性が高い。3. Promoter microarrayによる発がん機構関する標的遺伝子の網羅的解析:WT1 isoform Aにより発現調節を受ける遺伝子は多数あると考えられる。Promoter microarayを用いてWT1 isoform Aがpromoter領域に結合する遺伝子を網羅的に解析する。
以上が本年度中に計画している実験である。WT1を薬剤耐性については上記実験が終了した後に検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究費としては、細胞培養用の培養液やディッシュ類などの消耗品、immunoblottingによる蛋白発現やPCRによる遺伝子発現の解析するための抗体、プライマーや測定用キットの購入に使用する。さらに特定の遺伝子をknockdownするshRNAの購入。また、in vivoでの解析には多数のヌードマウスが必須であり、このための費用にも使用する。マイクロアレイによる遺伝子の網羅的解析は、当方で標本を用意した上で、業者に依頼することとなるので、1検体あたりの解析には、360,000円程度を使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 卵巣癌におけるWT1 isoformの発現とその薬剤感受性に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      太田剛
    • 学会等名
      第52回日本婦人科腫瘍学会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪(東京都)
    • 年月日
      20120719-20120721

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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