研究課題/領域番号 |
24791682
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
越智 寛幸 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90574145)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒトパピローマウイル / 血清疫学 / 子宮頸癌 / 子宮頸部前癌病変 |
研究概要 |
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の実態を血清疫学的方法によって明らかにし、HPV感染予防ワクチンによる子宮頸癌発症予防をより効果的なものとするための基礎データを蓄積すること。また、子宮頸癌前癌病変患者の血清中和抗体の有無を調べることで、子宮頸癌発症の高リスク群を抽出し、効率的な管理方法を検討することを目的として研究を行っている。 HPV16 DNA陽性の前癌病変患者において、HPV16に対する血清中和抗体の有無が病変の消失や進展に関連するかを検討した結果、CIN1/2患者で2年以内に病変が自然消失する割合は中和抗体陽性者で低く、中和抗体陽性者で病変が存続しやすい傾向がみられた。またCIN3へ進展した6名はすべて中和抗体陽性であり、進展リスクに有意差を認めたことから、子宮頸部前癌病変患者ではHPVDNAの型判定に加えて、HPV血清中和抗体の有無を測定することで、CIN3への進展リスクの評価に役立つ可能性があることを明らかとなった。研究結果をまとめ、下記にて発表した。 Ochi H, et al. (19名中.1番目) Do neutralizing antibody responses generated by human papillomavirus infections favor a better outcome of low-grade cervical lesion. Journal of Medical Virolog (査読有), Vol. 84, 1128-1134, 2012
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文部科学省特定領域「HPVと発がんに関するコホート研究」研究班より提供をうけた血清サンプルの中和抗体の測定し、「HPV16 DNA陽性の前癌病変患者ではHPVDNAの型判定に加えて、HPV血清中和抗体の有無を測定することで、CIN3への進展リスクの評価に役立つ」可能性を明らかとした。研究結果を、Journal of Medical Virologにて無事発表することができた。 今回得られた結果は、子宮頸癌前癌病変患者の血清中和抗体の有無を調べることで、子宮頸癌発症の高リスク群を抽出し、効率的な管理に役立つ可能性があることを示すもので、研究の目的に沿うものであることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
文部科学省特定領域「HPVと発がんに関するコホート研究」研究班より血清サンプルの提供をうけて研究を開始した。今後は、新たに作成した偽ウイルスを用いて測定するHPV型を増やすとともに、血清が利用可能な全ての症例について追加して中和抗体の測定を行う。 我々がこれまでに報告してきた、”子宮頸部前癌病変患者ではHPVDNAの型判定に加えて、HPV血清中和抗体の有無を測定することで、CIN3への進展リスクの評価に役立つ可能性がある”という検討結果を踏まえて、16型だけでなくその他のHPV型についても同様の結果が得られるかフォローアップデータを解析し、中和抗体価がその後の病変の存続・進展の予後を予知するマーカーとして使用可能か検討を深める。
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次年度の研究費の使用計画 |
顕微鏡(1台×800千円)や個人情報管理用コンピュータ(1台×100千円)は耐震工事による研究室の移動、ならびに最新式の機器の購入にむけて、昨年度は購入を控えた。本年度は、購入機器を再度選定したうえで予算を執行する予定である。 昨年度得られた研究成果についてはEUROGIN 2013 Florence, Italy - November 3 - 6, 2013 での発表を計画している。
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