ジェノゲストの卵巣保護作用を検証するために、研究実施経過に沿って以下の実験プロトコールに準じて行った。平成24年度には、①予備実験として卵巣毒性が強いcyclophosphamideを、ラットに一定期間投与することによって、卵胞数を有意に減少せしめる至適濃度と投与期間を検証し「癌化学療法ラットモデル」を作成した。②癌化学療法ラットモデルにジェノゲストを投与することで、原始卵胞プールの減少が阻止され、更に残存卵胞が(癌化学療法終了後に)発育・排卵し得ることを、これまでに卵巣保護作用を有する可能性が示唆されてきたGnRHアナログと比較検討することによって、生理学的・内分泌学的・病理学的に確認し、ジェノゲストが卵巣保護作用を有する可能性とその至適濃度を証明した。平成25年度には、③癌化学療法モデルラットを交配させ、その出生仔を観察することにより、抗癌剤やジェノゲスト、GnRHアナログが、次世代・次々世代の生殖に及ぼす影響を観察した。すなわち、妊娠ラットが生産・死産する割合、分娩時の出生仔数や出生時体重、新生仔の発育状況を、それぞれ観察するとともに、出生仔が性成熟した後に交配させ、その妊娠・出産状況を観察した。抗癌剤にジェノゲスト、GnRHアナログを併用することによって、コントロール群には及ばないものの抗癌剤単独投与群と比較して明らかに妊孕性を保護することができ、更には次世代・次々世代の生殖には影響を及ぼさないことを証明した。本年度は、これまで行ってきた実験を反復することで結果を確証するとともに、これまでの結果を報告するために論文投稿を行い採用された。
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