妊娠ラットの子宮動脈を一過性に虚血・再灌流することにより、酸化ストレスに起因する胎仔脳障害を引き起こすモデルを使用した。この虚血再灌流モデルにおいて、水素分子を飽和させた水素飽和水を経母獣的に自由飲水させると、新生仔発育が回復し、また新生仔海馬神経細胞の変性も抑制された。また、8週齢まで飼育後に、行動実験を行ったところ、参照記憶の改善を認めた。この機序としては、母獣への水素飽和水投与により、胎仔および胎盤中でも水素濃度が上昇することが確認され、胎仔脳および胎盤において酸化ストレスマーカーの抑制を認めており、分子状水素の抗酸化作用と考えられた。
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