研究課題/領域番号 |
24791707
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鍋田 基生 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80444751)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / 血清診断 / 自己抗体 / 抗PDIK1L自己抗体 |
研究概要 |
【目的】子宮内膜症の診断は腹腔鏡または開腹による視診と組織診での確定診断が推奨されるが、外科的侵襲を伴い患者の負担となる。そこで高精度で簡便な診断方法の確立を目指している。 【方法】2次元電気泳動及びWestern blottingを行い、子宮内膜症患者と健常者の血清中に存在する自己抗体を検索した。患者血清に特異的に反応したスポットをMALDI TOF-MSを用いて解析し抗PDIK1L自己抗体を同定し、血中自己抗体検出のためのELISA法を確立した。免疫組織染色にてPDIK1Lタンパク質の組織発現性を解析した。本研究は倫理委員会の承認とinformed consentを得て行った。 【結果と考察】ELISA法で解析すると抗PDIK1L自己抗体価が、健常対照群(155.8±95.2 U/ml, n=44)および疾患対照群(203.4±129.5 U/ml, n=38)と比較して、子宮内膜症群(369.7±214.8 U/ml, n=74)で有意に高値(vs.健常対照群p=3.5×10-11、 vs.疾患対照群p=1.9×10-6)であった。血清抗PDIK1L自己抗体価の診断能(感度 58.1%、特異度 84.1%)は既存の血清マーカーであるCA125(感度 36.5%、特異度 85.4%)に対し明らかに優れていた。更に両者を併用することで子宮内膜症診断の感度を73.0%まで上げることが可能であった。免疫組織染色にて解析すると、子宮内膜症組織でPDIK1Lの発現が強く認められ、子宮内膜症症例の94.7%に発現していた。 【結論】子宮内膜症診断の新たな方法として抗PDIK1L自己抗体を見出すことに成功した。今後更なる臨床的、基礎的解析により、その有用性を証明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗PDIK1L自己抗体のELISA法を確立した。解析により、抗PDIK1L自己抗体価が、健常対照群(155.8±95.2 U/ml, n=44)および疾患対照群(203.4±129.5 U/ml, n=38)と比較して、子宮内膜症群(369.7±214.8 U/ml, n=74)で有意に高値(vs.健常対照群p=3.5×10-11、 vs.疾患対照群p=1.9×10-6)であった。血清抗PDIK1L自己抗体価の診断能(感度 58.1%、特異度 84.1%)は既存の血清マーカーであるCA125(感度 36.5%、特異度 85.4%)に対し明らかに優れていた。更に両者を併用することで子宮内膜症診断の感度を73.0%まで上げることが可能であった。免疫組織染色にて解析すると、子宮内膜症組織でPDIK1Lの発現が強く認められ、子宮内膜症症例の94.7%に発現していた。
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今後の研究の推進方策 |
抗PDIK1L自己抗体の子宮内膜症における診断の有用性について更に解析を進める。また、PDIK1Lタンパク質の組織局在についても更に解析をすすめ、自己抗体産生のメカニズムを探る。また、PDIK1Lタンパク質の患者血清中における発現についても解析する。 一方、他の有用性が高いと考えられる抗STX5自己抗体についても抗PDIK1L自己抗体と同様に解析していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗PDIK1L自己抗体の子宮内膜症における診断の有用性について更に解析を進めるとともに、PDIK1Lタンパク質の患者血清中における発現についても解析する。 一方、他の有用性が高いと考えられる抗STX5自己抗体についても抗PDIK1L自己抗体と同様に解析していく。 これらの研究成果を国内外の学会にて発表し、論文発表する。
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