研究課題
約1,300例を超える試料収集がなされた。現在も長崎大学附属病院および県下の協力病院を訪れた患者を対象として、子宮頸部の拭い液を採取し、同時に血液を採取している。血液については、QIAgen DNA blood mini Kit(QIAgen)を用いてDNA抽出を行った。子宮頸部の拭い液はSurePath™(シェアパス)に保存し「アンプリコア®リニアアレイHPVジェノタイピングキット」によって、HPV-DNA型の判定を行っている。デイフェンシン遺伝子のコピー数解析のために、ディフェンシン遺伝子に特異的なプローブを設計し、対象例から採取した末梢血ゲノムDNAからリアルタイムPCR法を用いて同遺伝子のコピー数を算出した。実験系の確立のために、ヒトゲノムDNAにおけるDEFB4(ディフェンシンB4)のExon2領域のコピー数が判明している検体を用いた。ALB(アルブミン)とDEFB4の比が2:3であるサンプルを入手し、末梢血DNA中のDEFB4の絶対定量に使用することで、ALB 2コピーに対しDEFB4が2コピー、3コピー、4コピー、5コピーである末梢血DNA検体を選出することが可能であった。選出した検体を基準とすることで、リアルタイム PCR法によるDEFB4の正確なコピー数の絶対定量が可能であった。同様に検量線の作成を他のディフェンシン遺伝子ファミリーに対しても行い、コピー数の算出ができるようにした。上記研究方法を用いて、子宮頸癌患者とコントロールのサンプルを用いてディフェンシン遺伝子群のコピー数を計測した。すると子宮頸癌患者群とコントロール群でDEFB4のコピー数に有意な差を認めた。その他のデイフェンシン遺伝子では、差を認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
検体集積が順調である。ディフェンシン遺伝子群のコピー数計測の実験系を確立した。実際の患者サンプルとコントロールサンプルにおいて統計学的に有意なコピー数多型の差を認めた。以上より、本年度の研究進捗状況は順調と考えた。
引き続き、例数を増やして、ディフェンシン遺伝子群のコピー数多型を計測していく。また集積した患者血漿中のディフェンシン蛋白濃度の測定を行い、血漿の検査によりコントロール群との差を認められるか確認する。すでに数の判明しているディフェンシン遺伝子を持つDNAをコピー数別にクローニングし、発現ベクターに組み込む。これらのベクターを用いて、ディフェンシンmRNAのリアルタイムPCR法で定量的PCRを用いて発現量を計測する。生検で得られた子宮頸部組織から実際にディフェンシン蛋白を定量的に検出できるか検討し、免疫染色でその局在と発現量を明らかにする。HPV持続感染と関連する宿主側(ヒト)の因子としてディフェンシンのコピー数をウイルス側因子としてHPV-DNA型を関連づけ、それぞれの臨床所見(組織型、発症までの期間および治療効果)との関連を検討する。以上、当初の計画どおり進行する予定である。
今までのところ、当初の研究計画の予定どおりに研究費を使用する予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Human Genetics
巻: 未定 ページ: 未定
10.1038/jhg.2013.7