研究課題/領域番号 |
24791715
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
菅沼 亮太 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30528211)
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キーワード | 体外受精 / 顕微授精 |
研究概要 |
高倍率(3000倍)で精子を観察し、形態良好な精子を選別し卵内に注入する方法(intracytoplasmic morphology selected sperm injection:IMSI)の有効性・安全性についての基礎研究を目的とし、精子形態と精子機能の相関を評価すべく、ヒト不妊症症例からの精液検体の収取・凍結保存を行った。また、マウス卵を用いて精子機能評価(受精能・妊孕能)の検討を行っている。 集められた精子検体を用いて、過排卵刺激したB6D2F1マウスから得られた卵子にICSI(intracytoplasmic sperm injection)を施行後染色体分析を行い、同実験で得られたヒト精子染色体異常率・受精率と、各症例における臨床成績との相関を検討中である。 精子形態分類は、頭部・中間部・尾部の異常の有無により行っている。 上記検討を随時行えるようマウス卵の凍結保存を行い、適宜融解後使用するものとした。またICSI後の染色体分析も実験時間の調節が可能なよう、ICSI後卵子の凍結保存を行い、ICSI後の凍結のタイミングと受精率・染色体異常率に与える影響についての基礎研究も追加実施した。 不妊症症例からの精液検体の保存症例件数は、タイミング療法中および人工授精(AIH)症例:約130症例(3年で150症例目標)、体外受精およびICSI症例:約100症例(3年で150症例目標)であった。今後も引き続き検体の収集・保存を行うとともに、各症例の精子形態分類の結果と臨床成績の相関の評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度、精子の観察・形態評価に要する時間の短縮のため、顕微授精用の顕微鏡に、高倍率下精子選別法(IMSI)用の自動制御装置(低倍率から高倍率への切り替えを自動で行うシステム)の導入を行った。観察時間が約1/2に短縮されており、前年度からの精子検体の観察・形態評価の遅れを取り戻しつつある状況である。 また、随時マウス卵を用いた精子機能評価を行えるようマウス卵の凍結保存を行っており、それに併せ今後ICSI後の染色体分析の時間の調整が行えるようICSI後の卵の凍結保存と、同処理の時間的な違い(ICSI後のタイミング)が受精能・染色体異常率に与える影響についての追加実験を行ったため、主研究の進度にやや遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度から行っている精子形態評価法(形態分類方法)に従い、不妊症症例から得られた精液検体を用いてIMSIの有効性・安全性の検討を継続して行っていく(結果により、形態分類の集約化による再評価を検討中である)。また、IMSIの安全域の再評価(顕微鏡観察時間・ICSIまでに要する時間が、受精能・精子染色体に及ぼす影響についての検討)を行い、IMSIに要する時間・IMSI実施時の環境の最適化を検討する。 また前年度に引き続き、不妊症症例からの精液検体の追加収取・保存と、臨床成績の追跡調査を行い、精子形態評価の結果と臨床成績(治療予後、胚培養結果など)との相関についての検討を行っていく。 随時マウス卵を用いた精子機能評価行えるよう、マウス卵の凍結保存とその影響についての追加検討を行い、また実験の効率化を図るため、染色体評価の時間調整が可能であるかどうか、ICSI後の凍結融解処置が受精能および精子染色体に与える影響についての評価も継続して行っていく。
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