研究概要 |
生殖補助医療, 特に体外受精-胚移植技術の成績向上を目的として, 配偶子, 特に卵子形成過程における減数分裂エラーと細胞内小器官であるミトコンドリア関連の病因遺伝子変異の探索を, 研究の目的とした. 細胞の採取について, 初期分割期から胚盤胞に至る各段階での割球あるいは栄養外胚葉細胞採取の技術について検討した. 初期分割期においては割球間で異なる染色体コピー数を有する体細胞モザイシズム現象が散見された. 初期分割期割球由来遺伝子は稀少であるため, 解析に先立ち全ゲノム増幅法を用いたDNA増幅が必要となるため, 最適な増幅技術について検討した. PCRをベースとした全ゲノム増幅技術ではマイクロアレイを用いた染色体コピー数が有効であるのに対して, 塩基配列レベルでの解析を要する診断系の最適化には課題を残した. 一方, 非PCR ベースの全ゲノム増幅技術では, テンプレートDNAを解析に十分な量まで増幅し, かつ正常/変異ミトコンドリアの混在した細胞において, その正常/変異比率の一定の範囲で保ちながら増幅することを示唆する結果を得た. 各種全ゲノム増幅法の検討を実施する中で, 稀少細胞の解析には, 細胞採取・DNA抽出法・全ゲノム増幅の最適化・解析法の選択の各段階における選択とそのマッチングの重要性が示された. 今後さらに網羅的解析を行う上で, 目的とする遺伝子・変異型・染色体に依存しないall in oneの診断系の構築を展開していく必要がある.
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