研究課題/領域番号 |
24791725
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
彭 為霞 日本医科大学, 医学部, 助教 (00535700)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子宮内膜癌 / 類内膜腺癌 / FGFR2IIIc |
研究概要 |
FGFR2IIIcは、FGFR2のアイソフォームの1つで、その過剰発現は、卵巣癌を含め、さまざまな悪性腫瘍において、癌の発生、進展に深く関与すると報告されている。また、FGFR2IIIcは、子宮頚部異形成の進行にしたがって、発現が高くなり、子宮頸癌においては全症例で過剰発現していることが報告されている。しかし、子宮内膜癌におけるFGFR2IIIcの役割については報告がほとんどなく、未だ不明な点が多い。 今回、正常子宮内膜、子宮内膜増殖症、及び子宮類内膜腺癌の病理検体を用いて、酵素抗体法を用い、組織中でのFGFR2IIIcの発現の量や局在、そして、臨床病理学的因子との関連性について詳細に検討した。正常子宮内膜症例においては、FGFR2IIcの発現は全例に認めたものの、86%の症例は軽度の発現を示した。しかし、異型増殖症や、Grade1 類内膜腺癌においては、FGFR2IIIcの発現は著明に増加していた(p<0.05)。一方、類内膜腺癌のGrade1に比し、Grade2, 3と分化度の低下した癌では、FGFR2IIIcの発現量は有意に減少していくことも明らかとなった(p=0.011)。このFGFR2IIIcの発現は、年齢、リンパ節転移、病期(stage)との相関は見られなかった。以上の結果より、FGFR2IIIcは、子宮類内膜腺癌の発癌だけではなく、癌の維持や進展に重要な役割を担っていると推測できる。癌の進行・進展に関しては、FGFR2IIIcの発現に関する因子やFGFR2IIIcの下流に存在する遺伝子異常の蓄積による可能性が考えられた。 現在、上記の結果をまとめた論文を投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定としては、正常子宮内膜、子宮内膜増殖症、及び子宮類内膜腺癌の病理検体を用いて、酵素抗体法を行い、組織中でのFGFR2IIIcの発現の量や局在を検討し、FGFR2IIIc 発現と臨床病理学的因子との関連性について検討することである。 今回の検討では、正常子宮内膜、子宮内膜増殖症、及び子宮類内膜腺癌におけるそれぞれのFGFR2IIIcの発現は明らかにし、FGFR2IIIcは、子宮類内膜腺癌の発癌に重要な役割を担っていることが分かった。さらに、病理学的因子との関連性について検討した結果、FGFR2IIIcの発現は、年齢、リンパ節転移、病期(stage)との関連は見られなかったが、高分化癌と正の相関傾向が見られた。FGFR2IIIcの発現は子宮類内膜腺癌の発癌だけではなく、癌の維持や分化、進展に重要な役割を担っていると推測できる。 現在、上記の結果をまとめた論文を投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、FGFR2IIIcの発現を調整する因子やFGFR2IIIcの上流、下流シグナル伝達系に存在する遺伝子、蛋白発現の異常を同定し、子宮類内膜腺癌の進行に関与する因子を解明する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究で得られた成果などを学会での発表や、国際雑誌に投稿するため、英文校正、論文印刷代として使用予定である。 また、次年度研究目的達成するための、試薬や物品の購入、学会・講習会の参加、国際雑誌投稿するための費用として使用する予定である。
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