研究課題/領域番号 |
24791727
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10625502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | EMT / CD24 / 子宮体癌 / E-cadherin / snail / slug |
研究概要 |
【目的】近年固形癌でも癌幹細胞の概念が導入されCD抗原を中心としたマーカー検索や機能解析が行われている。膵癌や卵巣癌ではCD24+が幹細胞の指標となる事や転移に重要なEMT(上皮間葉転換)との関連が報告されているが不明な点が多い。今回EMTの指標を検索すべくCD24に着目し検討した。 【方法】子宮体癌細胞株(Ishikawa、Hec1A、Hec108)でCD24/CD44を指標にFACS解析後MACS法でCD24+/CD24-へ分離し、分離後1週間のCD24発現をFACSで確認した。増殖能、薬剤感受性をMTS assayで検討した。CD24で分離後にEMT(E-cadherin、snail、slug)や幹細胞(Oct3/4、Oct4、Notch1、Notch4)、細胞周期(cyclin D1)に関連する遺伝子発現をRT-PCR法で解析した。子宮体癌354例でCD24、E-cadherin、snail、slugの免疫染色を行い病理学的因子、予後との関係を解析した。 【結果】増殖能は有意にCD24-で高かった。CD24+は増殖能が低いためか、CDDP添加後もMTS assayではcell viabilityが保たれ、耐性性を認めた。分離後1週間後の解析では両群ともCD24+/CD24-両方の細胞が存在した。CD24+はCD24-と比較しE-cadherin、cyclin D1の発現が低くsnail、slug、幹細胞関連遺伝子の発現が高かった。免疫染色ではCD24+は低分化型や特殊型で多く発現し、またリンパ節転移巣で有意に高発現であった。さらにCD24+は、CD24-と比して有意に予後が悪かった。 【総括】CD24は、子宮体癌において悪性度と相関し、EMTの指標として有用である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画はほぼ予定通り終了している。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜癌細胞株を用いてCD24を指標に陽性細胞と陰性細胞を分離し、それぞれの細胞特性(増殖能、浸潤能、薬剤耐性性)を比較した解析からCD24がEMTと強く相関していることが判明した。また細胞からRNA及び蛋白を抽出しEMT関連因子、間葉系マーカー、上皮系マーカー、幹細胞マーカーの発現を比較した解析からも同様の結果でえあった。今後腫瘍形成能や浸潤能はin vivoで検討する。さらに実際にEMT制御に関わる遺伝子(Snail、Slug、TWISTの結合部位を含むプロモーターを有する遺伝子)をコンピューターリサーチし、EMT現象に関わる新規遺伝子を同定し、その機能をSiRNAで抑制した場合にEMT現象が抑制できるか否かを検討していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行する上で、子宮内膜癌細胞株Ishikawa、HEC1AおよびHEC108細胞を維持するための細胞培養のための培養液等の消耗薬品および、Western blotting, real time PCR, MTS assayおよびCSCsを分離するための薬品並びに各種抗体、婦人科悪性腫瘍モデル作成のための免疫不全7週令のメスヌードマウスなど必要な諸経費は本研究を行うにあたり最低必要不可欠なものと考え、研究費の使用計画をたてています。
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