我々は、妊娠子宮筋の収縮メカニズムの解析を行なっている。 GPR30と同様の7回膜貫通型であるバゾプレッシン受容体が妊娠子宮に高発現していることを新たに確認した。 バゾプレッシン受容体は妊娠初期から発現しており、妊娠後期に向けてその発現は維持されていた。一方、妊娠子宮の収縮に重要なオキシトシン受容体に関しては、妊娠初期の発現は認められず、妊娠後期に上昇していた。 子宮の部位別発現量を比較した。分娩後の弛緩出血で問題となる子宮体下部筋におけるオキシトシン受容体の発現は少なく、一方バゾプレッシン受容体の発現は有意に多いものであった。この知見から、切迫早産の治療としてのバゾプレッシン受容体をターゲットとした阻害剤の有用性や、弛緩出血時のアゴニストの有用性が示唆される。
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