平成24年度までに樹立に成功した卵巣がん臨床検体由来のがん幹細胞性質をもつスフェロイド細胞を用い,卵巣がん幹細胞の特性の解明を行った。 スフェロイド細胞をin vitroで血清添加による分化誘導を行い,その後再度血清非添加培地での脱分化を誘導すると,再度スフェロイドの形成を認めた。これらの細胞では幹細胞マーカー(Nanog,Sox2,ALDH1A1)の発現の再上昇を認めた。また単細胞におけるmRNA発現解析により,スフェロイド細胞と分化誘導後の細胞は異なる細胞集団として分類され,再形成スフェロイド細胞は元のスフェロイド細胞と同じ細胞集団として分類された。 以上より,卵巣がんにおいて分化可塑性が存在することが示された。 今後はさらなる生化学的特性の解明を目指す。
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