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2013 年度 実施状況報告書

EMMPRINを標的とした頭頸部癌治療法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24791740
研究機関秋田大学

研究代表者

鈴木 真輔  秋田大学, 医学部, 講師 (90312701)

キーワード頭頸部癌 / CD147 / EMMPRIN
研究概要

CD147/EMMPRINの頭頸部癌における機能解明のため、EMMPRINのリガンドとして注目されるサイクロフィリンAが頭頸部癌細胞に対して及ぼす影響の検討がなされた。この結果サイクロフィリンAはEMMPRINとの相互作用により頭頸部癌細胞の浸潤能や薬剤耐性を亢進することが明らかとなった。またEMMPRINを標的とした頭頸部癌治療の有効性とより効率的な戦略を検討するため、これまで明らかとしてきたEMMPRINの腫瘍促進能に加え、頭頸部癌細胞における他の癌促進因子との関連性を検討した。この結果、EMMPRINは頭頸部癌において近年主要な標的分子として注目されるEpidermal Growth Factor Recepter(EGFR)によってその発現が導かれるのみでなく、EGFRによって誘導されるMMP産生および細胞浸潤能を媒介することが明らかとなった。また、EMMPRINの阻害は、頭頸部癌細胞の細胞増殖能および細胞遊走能を抑制し、さらにこれらの抗腫瘍効果はEGFRとの同時阻害により増強されることが分かった。
またEMMPRINの頭頸部癌におけるより臨床的な役割を検討するため、舌癌の頸部リンパ節転移と原発腫瘍におけるEMMPRINの発現の相関が検討された。この結果、臨床的にリンパ節転移なしと判断された舌癌症例の潜在的頸部リンパ節転移に、原発腫瘍におけるEMMPRINの発現が関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに頭頸部癌細胞におけるEMMPRINのcyclophilin Aを介した新たな腫瘍促進機序の解明が行われた。また頭頸部癌におけるEMMPRINとEGFRとの関連を解明し、これに基付きEMMPRINを標的とした効率的な頭頸部癌抑制効果の検討がなされた。さらに臨床検体におけるEMMPRINの発現と予後との検討が行われ、頭頸部癌における予後不良因子としてのEMMPRINの可能性が示唆されている。

今後の研究の推進方策

近年、慢性炎症としての肥満と癌の関連が指摘されるなど、癌と炎症反応との関連が注目され、その機序の解明が進んでいる。このことからEMMPRINが頭頸部癌において果たす炎症反応への役割を検討することは、EMMPRINを標的とした新たな治療戦略につながる可能性が期待される。今後はEMMPRINを介した細胞内シグナル伝達の解明と同時に、炎症関連因子などとの相互関係を解明し、EMMPRINを標的とした頭頸部癌治療の可能性を検討したい。

次年度の研究費の使用計画

EMMPRINに関連する細胞内シグナル伝達の解明を行い、この結果をもとに頭頸部癌抑制に対するEMMPRINの阻害効果の検討を行う計画であったが、EMMPRINとEGFRとの関連が明らかとなったため、これらの分子の阻害効果の検討が先行された。このため、当該年度内に細胞内シグナル伝達の解明に必要とされる各種抗体、試薬の購入がなされなかったため。
今後、頭頸部癌においてEMMPRINによって誘導される細胞内シグナル伝達の解明と同時に、炎症反応などとの関連を検討する計画であり、このために必要とされる試薬の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Combined inhibition of EMMPRIN and epidermal growth factor receptor prevents the growth and migration of head and neck squamous cell carcinoma cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Suzuki S, Ishikawa K.
    • 雑誌名

      Int J Oncol

      巻: 44 ページ: 912-917

    • DOI

      10.3892/ijo.2013.2238.

    • 査読あり
  • [学会発表] S100A9 induces head and neck squamous cell carcinoma migration through its interaction with CD147/EMPRIN2014

    • 著者名/発表者名
      Shinsuke Suzuki, Kazuo Ishikawa
    • 学会等名
      5th WORLD CONGRESS - IFHNOS AND ANNUAL AHNS MEETING
    • 発表場所
      New York
    • 年月日
      20140726-20140730
  • [学会発表] 舌扁平上皮癌T1、T2症例における頸部リンパ節転移とCD147/EMMPRINの発現ついて2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木真輔, 石川和夫
    • 学会等名
      第38回 日本頭頸部癌学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140612-20140613
  • [学会発表] 頭頸部扁平上皮癌におけるS100A9とCD147/EMMPRINの役割2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木真輔, 石川和夫
    • 学会等名
      第115回 日本耳鼻咽喉科学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-05-14 – 2014-05-17
  • [学会発表] 中咽頭扁平上皮癌におけるEMMPRINの発現と予後に関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木真輔、本田耕平、石川和夫
    • 学会等名
      第37回 日本頭頸部癌学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130613-20130614
  • [学会発表] 頭頸部扁平上皮癌の細胞増殖制御に対するEMMPRINとEGFRの阻害効果2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木真輔, 石川和夫
    • 学会等名
      第114回 日本耳鼻咽喉科学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130515-20130515
  • [学会発表] Combined inhibition of EMMPRIN and epidermal growth factor receptor abrogates growth and migration of head and neck squamous cell carcinoma cells2013

    • 著者名/発表者名
      Shinsuke Suzuki, Kazuo Ishikawa
    • 学会等名
      AACR Annual Meeting
    • 発表場所
      Washington DC
    • 年月日
      20130406-20130410

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公開日: 2015-05-28  

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