研究課題
好酸球性副鼻腔炎は鼻茸の再発を高率に認める難治性の副鼻腔炎である。その病態生理は依然不明な点が多いが、局所におけるIgEの過剰産生が好酸球の遊走と活性化、およびこれによる粘膜傷害の惹起に関与することが近年示唆されている。好酸球性副鼻腔炎の患者の鼻茸には多数の活性化された好酸球が認められるため、局所への好酸球の遊走と活性化、およびこれによる粘膜傷害の惹起がその病態生理の重要な要素と考えられているが、近年の解析によりこれに局所におけるIgEの産生が関与していると考えられている(Bachert et al. 2003)。すなわち、好酸球性副鼻腔炎では黄色ブドウ球菌の毒素や真菌がsuperantigenとなりB細胞をポリクローナルに刺激し局所でのIgEの産生が促され、これによって好酸球性炎症が引き起こされるという仮説である。申請者らの研究(Baba et.al Clinical & Experimental Allergy, 44, 701–712 2014)ではポリープ局所でのIgEへのクラススイッチを示唆する所見を得、IgEは主にマスト細胞に存在することが示された。また、好酸球性副鼻腔炎症例のポリープ局所でのIgE産生細胞は形質細胞であることが示唆された。鼻粘膜局所のIgEはマスト細胞に作用して脱顆粒やケミカルメディエーターの産生を促進し、副鼻腔炎の病態形成に重要な役割を果たしていると考えられ、好酸球性副鼻腔炎の病態形成にIgEが関与していることが強く示唆された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
Laryngoscope.
巻: 124 ページ: E115-22
lary24462
Clinical & Experimental Allergy
巻: 44 ページ: 701–712
cea.12287