研究概要 |
頭頸部扁平上皮癌における標的分子とバイオマーカー確立を目指し、これまでのTP53とEGFRの解析系を発展させ、発癌や癌の悪性化に関連する遺伝子変異、融合遺伝子、ウイルス関連因子を検出してそれぞれ予後解析を行った。手術標本を凍結保存を集積は200例を超えた。新たに集積された頭頸部癌の凍結生標本70症例からQIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)によりゲノムDNAを精製し、電気泳動によって良質なDNAが得られたことを確認した。genome DNAとあわせて、RNA,タンパクを抽出し、解析のもととなるライブラリーを作成した。 続いて、ダイレクトシーケンス法による遺伝子変異検索を実施した。TP53遺伝子(exon5-9)、PIK3CA遺伝子(exon9,20)に加えて、重要性が近年注目されているCASP8遺伝子(exon1-9)を検索対象とした。PCR反応にはPrimeSTAR HS DNA Polymerase(TAKARA)を用い、PCR産物の精製にはQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)を使用した。TP53、PIK3CA、CASP8それぞれの変異率は、57%、4.3%、7.1%であった。 予想よりPIK3CA遺伝子の活性型変異の頻度は低く、PI3K経路の活性化にはPIK3CA遺伝子増幅の寄与が無視できないと考えられる。 他に、遺伝子解析とあわせて咽頭癌リンパ節転移で病理組織学的検討を行った。リンパ管浸潤判定目的にPodoplanin染色を行い、病理組織学的指標としての新規バイオマーカーとしての確立を目指した。また、腺様嚢胞癌の腫瘍培養細胞に神経栄養因子であるNGF及び受容体の免疫染色を行 った。15例のうち、およそ65%程度の陽性率を認め、神経周囲浸潤が強いと強く染色さ れる傾向であり、悪制度との関連について検討を進めた。
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