研究課題/領域番号 |
24791758
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 邦行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40452057)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大脳聴覚野 / イメージング / 両耳聴 |
研究概要 |
両耳聴では片耳聴に比し、音源定位に有利になるばかりではなく、聴覚心理学的に騒音下で有意音を識別する能力が向上すると言われている。左右の耳から別々に入力された音情報は蝸牛、蝸牛神経核で処理された後、脳幹・上オリーブ核レベルで初めて統合される。その後いくつかの中継核を経由し、最終的に大脳聴覚野に達し高度な処理が行われ、一つの情報として理解される。 難聴患者の日常診療において、多人数での会話に困る、騒音環境下での会話に困るという訴えをよく経験する。その原因として内耳機能の低下もさることながら、左右の音情報を統合、処理する聴覚中枢の機能低下も大きく関わっていると考えている。われわれはこれまでの研究から大脳聴覚野には領域別に機能分化があること、柔軟な可塑性があることを報告してきた。本研究では、両耳聴における優位性と、大脳聴覚野におけるそのメカニズムの解明を目的とする。 これまでわれわれが利用していた実験装置は、顕微鏡はマウスの直上、垂直に設置していた。しかし大脳聴覚野は側頭部に位置するため、聴覚野の反応を測定する場合、マウスを側臥位で固定する必要があり、呼吸が不安定になりやすいこと、両耳同時刺激ができないこと、対側の聴覚野の測定ができないことなどの欠点があった。そこで、新たに水平方向から両側同時に大脳聴覚野が記録できる装置を設置した。本装置によりマウスに生理的な体位で測定できるとともに、両耳別々刺激、両側同時に大脳聴覚野の記録を取ることが可能となり、現在基礎的なデータを収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両側同時に大脳聴覚野をみるための水平方向からの顕微鏡設置は比較的容易に可能であった。しかし、両側大脳聴覚野を同時にフォーカスを合わせるためのマウスを固定台の設置が予想以上に困難であり、時間を要した。それに対して、市販のカメラ固定台などを細工することにより、微調整が可能なシステムができあがり、現在安定して記録をとることが可能となり始めている。そのため、おおむね実験計画通りに進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス用コンデンサスピーカーを用いて、左右別々に音刺激が可能となる装置を完成させる。それにより、片耳刺激での同側、反対側大脳聴覚野の反応を見ることができる。右耳片側刺激、左耳片側刺激におけるそれぞれの大脳聴覚野の反応を測底し、左右の大脳聴覚野の機能に違いがあるかを探る。そして、両耳同時刺激を行った場合との差を比較検討し、両耳聴における優位性について研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にマウスの手術を行うための麻酔薬などの薬剤、綿球、固定金具などの消耗品に使用していく。また研究成果に応じて、学会発表などの旅費などにも使用していく予定である。
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