研究課題/領域番号 |
24791758
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 邦行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40452057)
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キーワード | 大脳聴覚野 / イメージング / 両耳聴 |
研究概要 |
両耳聴では片耳聴に比し、音源定位に有利になるばかりではなく、聴覚心理学的に騒音下で有意音を識別する能力が向上すると言われている。左右の耳から別々に入力された音情報は蝸牛、蝸牛神経核で処理された後、脳幹・上オリーブ核レベルで初めて統合される。その後いくつかの中継核を経由し、最終的に大脳聴覚野に達し高度な処理が行われ、一つの情報として理解される。難聴患者の日常診療において、多人数での会話に困る、騒音環境下での会話に困るという訴えをよく経験する。その原因として内耳機能の低下もさることながら、左右の音情報を統合、処理する聴覚中枢の機能低下も大きく関わっていると考えている。われわれはこれまでの研究から大脳聴覚野には領域別に機能分化があること、柔軟な可塑性があることを報告してきた。本研究では、両耳聴における優位性と、大脳聴覚野におけるそのメカニズムの解明を目的とする。 われわれはこれまでの実験装置を改良し、水平方向から両側同時に大脳聴覚野が記録できる装置を設置した。本装置によりマウスに生理的な体位で測定できるとともに、両耳別々刺激、両側同時に大脳聴覚野の記録を取ることが可能となった。これまで、一般的に、片側から入った音は、同側大脳聴覚野(ipsi)では処理されず、反対側の大脳聴覚野(contra)で処理されていると考えられてきた。しかしわれわれの研究から、左右別の音刺激を行い、別々に大脳聴覚野を解析すると、contraだけでなくipsiの反応も見られることがわかった。現在ipsiに反応に注目し、conntraの反応との関係について解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、水平方向から両側同時に測定できる装置を用い、安定して記録をとることが可能となった。また刺激音もさまざま作成することできるようになり、順調にデータ収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス用コンデンサスピーカーから導音管を用いて、左右別の耳に音を入れることが可能となっている。片側のみからの刺激音の場合の、ipsi、contraの反応について、両側刺激の場合の反応について解析を進めている。また単純な音ばかりではなく、周波数変調音を用いたり、雑音負荷下での反応の変化について探っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要な機器購入に想定より費用を要さなかったこと、年度当初は研究補助員の欠員などから、一時研究が滞り、動物購入などにそれほど費用を要さなかったことが考えられる。 研究補助員の雇用、動物の購入費用、学会発表費用に使用する予定である。
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