研究課題/領域番号 |
24791760
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中西 清香 金沢大学, 大学病院, 助教 (40532180)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / 嗅覚障害 / 慢性硬化性顎下腺炎 / EBウイルス |
研究概要 |
平成24年度においては、IgG4関連疾患の耳鼻咽喉科領域における唾液腺疾患以外の臨床像とくに鼻副鼻腔疾患との関連性を明確にし、その中で、特に嗅覚障害がIgG4関連疾患の固有の症状として出現するのか、アレルギー性鼻炎などの鼻閉を呈する疾患の二次症状として出現するのかを明らかにすることを目的に、臨床的組織学的に検討を行った。16例の患者における検討では、約半数の割合で嗅覚障害を認めた。その背景因子として、嗅覚障害のある群とない群において、総IgE値の違いは有意差を認めず、さらに年齢、血清IgG4値、副鼻腔炎の程度、多臓器病変の程度なども有意差を認めなかった。さらに、下鼻甲介粘膜におけるIgG4陽性細胞浸潤について、アレルギー性鼻炎患者と比較検討したところ、 IgG4関連疾患患者では有意に陽性細胞浸潤を認めた。しかし、下鼻甲介のIgG4陽性細胞浸潤の程度と嗅覚障害は一致しなかった。これらの結果により、IgG4関連疾患患者においては固有の組織学的変化により嗅覚障害があるのではないかと予測しているが、嗅粘膜の検討が必要と思われた。 さらに、IgG4関連疾患として診断が確定している慢性硬化性唾液腺炎と鼻副鼻腔疾患生体組織における病理像を中心に、病態の差を解明することを目的に、EBVの発現について鼻副鼻腔および顎下腺組織の両方がそろっている検体においてEBERsの局在をin situ ハイブリダイゼーションを用いて検討した。4例中1例に顎下腺組織において陽性細胞を認めた。鼻腔組織においては弱い染色性がみられたものの、結果についてはさらなる検討が必要である。顎下腺と鼻副鼻腔の病態は異なる可能性があるものの、IgG4関連疾患において、EBVの関与が示唆される重要な結果と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に予定していた。慢性硬化性唾液腺炎と鼻副鼻腔疾患生体組織における病理像を中心に、病態の差の解明において、TLR、AIDの局在を検討中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の研究計画に従い継続していくとともに、疾患モデルマウスを入手したため、病態解明におけるさらなる組織学的検討が可能となった。今後はモデルマウスの繁殖を行い、嗅粘膜も含めた組織学的検討により、さらなる病態解明へのアプローチが可能となる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な予算執行により端数が生じ、平成24年度は¥8,420の未使用額が発生した。引き続き当初の計画通り物品購入、研究発表などを行い、適正に使用を行う予定である。
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