今回我々は、IgG4関連疾患患者における耳鼻咽喉科領域の新たな臨床像、嗅覚障害の全貌を明らかにすること、またその背景因子について検討すること、さらにモデルマウスにおいてその実態を検討することを目的として研究を行った。IgG4関連疾患患者に嗅覚検査を施行したところ一般的な成人に対し、非常に高い割合で嗅覚障害を認めた。その背景因子については、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、病変の多寡にはよらなかった。また、モデルマウスにおいても嗅覚障害が発現していることを行動実験によって証明した。マウスの嗅上皮は特異的な変化は見られず、ターンオーバーの障害が原因と考えられた。今後は上流の調節機構の解明が必要である。
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