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2012 年度 実施状況報告書

頭頸部癌におけるESRP分子の発現と分子細胞学的意義と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 24791764
研究種目

若手研究(B)

研究機関山梨大学

研究代表者

石井 裕貴  山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (40568250)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードESRP1 / CD44
研究概要

当該年度の研究は主にヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いたin vitroで行った。頭頸部扁平上皮癌細胞株であるSAS細胞、HSC3細胞、HSC4細胞、Ca9-22細胞、Gun-1細胞、KUMA1細胞の6つのcell lineを用いて、mRNAレベルおよびタンパクレベルでのESRPタンパクの発現の有無を確認した。まずmRNAではすべての細胞株でESRP1遺伝子の発現を認めた。ESRP2遺伝子の発現はほとんど見られなかった。続いてSDS-PAGEウエスタンブロッティングにてESRP1タンパクの発現を確認したところいずれの細胞株で発現を認めた。以上より頭頸部扁平上皮癌細胞株でESRP1が何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された。他の論文よりESRP1が頭頸部癌幹細胞のマーカーの一つであるCD44のisoformの変化に関わっていることが示唆されており、具体的に6つの細胞株でのCD44isoformについて発現を検討したところ、いずれの細胞でもCD44 standard formの発現が乏しく、variant formの発現が有意に高かった。これはESRP1とCD44variant formの挙動が一致するという報告に一致する結果であった。
増殖因子との調節の関係を調べたところTGFβ刺激で、SAS細胞およびGun-1細胞でCD44 isoformの変化およびESRP1の発現低下を確認できた。
続いて、ESRP1のヒトでの組織局在を実際の舌癌症例の手術標本を使って免疫組織学的に確認したところ舌癌15症例中14例に発現を確認できた。さらに転移リンパ節内にも同様にESRP1発現があった。これはEMTを起こした癌細胞がリンパ節内では再度METを起こしている可能性が示唆された。今年度はin vitroに加えてin vivoでのESRP1タンパクの発現を確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は予定通り、頭頸部癌細胞株および頭頸部癌組織中でのESRP1の発現をmRNAおよびタンパクレベルでの発現を確認できた。さらにReal-time PCRでのprimerやSDS-PAGEウエスタンブロッティング・免疫組織学的染色に使用するESRP1抗体がきちんとworkし、評価につなげられることが確認できたため、組織染色に関しては引き続き症例を増やしていく。
さらにESRP1の発現調節を担う可能性がTGFβ刺激にあることが確認できたため当該年度の研究目的はおおむね達成できたと考える。

今後の研究の推進方策

次年度は、今年度の研究内容をさらに進めるに加えて、CD44(+)CD133(+)癌幹細胞とESRP1の発現影響について研究を進めていく予定である。具体的にはESRP1の過剰発現およびノックダウンによる癌幹細胞マーカーの変化およびEMTに及ぼす影響がどのようなものなのかを分子細胞生物学的、遺伝子工学的な観点から解明していく。
さらに癌組織での免疫組織学的染色を舌癌以外の頭頸部扁平上皮癌に広げて、発現の共通性を確認する予定である。癌の悪性度および臨床因子との関係を統計学的に解析し、ESRP1が新規の治療的側面があるのかどうか検討していく。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費の使用計画は、主にrealtimePCRのプライマーおよび試薬、免疫染色・ウエスタンブロットに用いる抗体および試薬の購入に加えて、過剰発現とノックダウンのassayに使用する試薬、必要物品の購入を検討している。ただ2013年3月から進めている実験系の中で、細胞のknockdownに必要なレンチウイルスshRNAやその試薬に関しては、国内からの販売がなく、米国からの輸入になるため、納期が1ヵ月から2か月かかるとのことであり、それのため年度を繰り越すこととなったため当該助成金が発生している。今年度および次年度で上がった成果を国内外の学会で報告する際にの学術費用としての使用も検討している。

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公開日: 2014-07-24  

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