研究課題
最終年度は、特に遺伝性難聴患者の半規管機能、球形嚢機能検査といった平衡機能検査について症例数を重ね実施することで、各遺伝子変異による平衡機能障害のメカニズについて検討を行った。先天性難聴の代表的な原因遺伝子であるGJB2、SLC26A4、CDH23(非症候群性)の各遺伝性難聴患者の平衡機能検査(温度眼振検査およびVEMP)を実施した。GJB2変異症例 23例、SLC26A4変異症例 10例、CDH23変異症例 9例について検討を行った結果、GJB2変異症例の91%およびCDH23変異症例の89%では、カロリックテスト上では正常を示したが、SLC26A4変異症例の60%程度は反応低下を認めた。VEMPでは、GJB2変異症例を障害する症例(80%)を多数認め、GJB2遺伝子変異症例では球形嚢障害を来しやすい可能性が示唆された。また、GJB2遺伝子変異症例において難聴の程度と前庭機能障害の程度についての相関の有無について検討を行ったが、聴力と温度眼振における最大緩徐相速度およびVEMPにおける補正振幅値に明らかな相関は認めなかった。以上の結果より、遺伝子変異の種類によって、難聴の表現型の特徴と同様に前庭機能についても特徴があることが示唆され、遺伝性難聴の病態の解明と患者に対するより詳細なカウンセリングに有用な情報が得られたと考えられる。今後さらにそのほかの種類の遺伝性難聴患者の前庭機能検査を実施し、それぞれの原因遺伝子の前庭機能について評価を行う予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
Audiol Neurootol
巻: 20 ページ: 147-152
Ann Otol Rhinol Laryngol
巻: 124 ページ: 100S-110S
巻: 124 ページ: 193S-204S
巻: 124 ページ: 6S-48S
Acta Otolaryngol.
巻: 135 ページ: 146-153
10.3109/00016489.2014.951453
巻: 134 ページ: 717-727
10.3109/00016489