研究課題/領域番号 |
24791770
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
小河 孝夫 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90549908)
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キーワード | へパリン / 気道炎症 / 凝固因子 / 鼻腔炎症 / ムチン / MUC5AC / 鼻粘膜 / 好酸球性副鼻腔炎 |
研究概要 |
これまで鼻腔の炎症モデルにおけるヘパリンの作用を検討した報告はない。LPS刺激やアレルギー性炎症によるラット鼻粘膜上皮の炎症に対するヘパリンの作用を検討した。LPS点鼻投与によりラット鼻粘膜上皮に著明な杯細胞化生と粘液産生,好中球浸潤が認められるが,未分画ヘパリンや低分子ヘパリンの点鼻投与は,こうした変化を濃度依存性に有意に抑制した。アレルギー性炎症のラット鼻粘膜モデルは、卵白アルブミン(OVA)で感作した後、点鼻して作成した。OVA点鼻により,ラット鼻粘膜上皮に著明な杯細胞化生と粘液産生が認められ,鼻粘膜に著明な好中球・好酸球浸潤が観察され、低分子ヘパリンの点鼻投与により,こうした鼻粘膜の反応は抑制された。 培養気道上皮細胞に対するヘパリンの直接作用を,ヒト気道上皮細胞株であるNCI-H292細胞を用いて検討した。TNF-α刺激によりNCI-H292細胞からIL-8産生やムチン分泌,MUC5ACmRNAの発現亢進が認められるが,未分画ヘパリンはNCI-H292細胞からの,IL-8産生やムチン分泌を濃度依存性に抑制し,MUC5AC mRNAの発現も抑制した.低分子ヘパリンも同様にNCI-H292細胞からのTNF-α刺激によるIL-8産生,ムチン分泌を濃度依存性に抑制した.気道上皮細胞株であるNCI-H292と好酸球性細胞株であるEoL-1の共培養で刺激されたMUC5AC産生やVEGFも未分画または低分子へパリンで抑制される。NCI-H292をIL-1βで刺激した時のMUC5AC産生やTGF-β1も未分画または低分子ヘパリンで抑制される。TNF-α以外の刺激で亢進するMUC5AC産生も未分画ヘパリン、低分子量ヘパリンで抑えられることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた動物実験、細胞培養実験でへパリンの抗炎症作用を証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
気道炎症に対するへパリンの抗炎症作用について、培養細胞での検討を継続する。
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