研究課題/領域番号 |
24791771
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松永 麻美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00599524)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 感音難聴 / トランスレーショナル研究 / プロスタグランディン / 有毛細胞 |
研究概要 |
本研究では、蝸牛におけるプロスタグランディンE受容体サブタイプの役割を生理的条件下および病的条件下(音響外傷)で解析することにより、蝸牛におけるプロスタグランディンEシグナルの役割を解明し、新規治療法開発に応用可能な知見を得ることを目的とした。今年度は、EP2ノックアウトマウスに関する解析を行った。EP2ノックアウトマウスをnegative controlとした免疫組織学的な解析により、EP2の蝸牛における発現を確認し、過去の報告と一致する感覚上皮、ラセン神経節、血管条、ラセン靱帯における発現を確認した。また、EP2ノックアウトマウスでは、生理的条件下においてEP4ノックアウトマウスとは異なり、聴性脳幹反応、誘発耳音響放射においてwild typeと比較し、有意の機能障害を認めなかった。また、形態学的にも明らかな以上を認めなかった。以上の結果は、相補的に機能していることが予想されたEP2とEP4において、蝸牛および聴覚系での役割が異なり、よりEP4の重要性が高いことが示唆された。音響外傷に対する脆弱性の解析では、EP2ノックアウトマウスがlitter mateと比較して、音響外傷に対して脆弱な傾向が認められたが、聴性脳幹反応、誘発耳音響放射において有意の差は認められず、組織学的にも残存有毛細胞数にも有意の差は認められなかった。音響外傷の条件下における解析結果もまた、EP4がEP2よりも音響に対する蝸牛保護においても重要な役割を果たすことが示唆された。次年度に予定している蝸牛器官培養での検討の実験系確立となる蝸牛スライス培養の実験系を確立し、内有毛細胞神経終末の傷害モデルを作製することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度中にEP3ノックアウトマウスに関する解析を行う予定であったが、音響外傷実験における音響の条件設定に時間を要し、EP2ノックアウトマウス解析にとどまる結果になった。一方、蝸牛器官培養における内有毛細胞神経終末の傷害モデルを作製することに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果にもとづき、EP3ノックアウトマウスの解析に着手すると同時に器官培養系を用いた解析実験を先行して行うことにより、当初の目的である蝸牛におけるプロスタグランディンE受容体サブタイプの役割に関連する知見を獲得し、論文作成を行いたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
EP3ノックアウトマウスに関連するin vivo解析に関連する物品費、蝸牛器官培養に関連する物品費を中心にとし、効果的な学会発表、論文発表に関連する部分を中心的な支出項目としたい。
|