研究課題/領域番号 |
24791777
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
勝沼 紗矢香 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80457043)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 嗅上皮 |
研究概要 |
嗅上皮は嗅覚を担う感覚器官であり、再生することが知られているが、嗅上皮がどのように発生・再生するかはいまだ不明な点が多い。嗅上皮を頂端面側からみると一面に並んだ支持細胞の間に嗅細胞の樹状突起が突出した特徴的な細胞配列を形成しているが、このような規則的な細胞配列が形成される分子機構と、形成された細胞配列がどのように機能と結びついているかについてはいまだ十分に明らかにされていない。 申請者はこれまでの研究により、嗅上皮の発生・再生過程では、嗅細胞と支持細胞の頂端面側配列が変化することを明らかにしてきた(未発表データ)。このような細胞の運動や形態変化には、細胞接着分子が深く関与することが知られており、中でも接着分子カドヘリンの他にネクチンが関与していることが報告されている。申請者は嗅上皮頂端面側の細胞間にこれらカドヘリンとネクチンが特徴的なパターンで局在していることを明らかにした(未発表データ)。そこで嗅上皮の細胞配列における接着分子の働きを検証にするために個体レベルと細胞レベルでの実験を行った。 まず、接着分子ネクチンのノックアウト(KO)マウス嗅上皮を観察したところ、嗅上皮頂端面の細胞配列に異常が確認された。ネクチンのサブタイプであるネクチン-2とネクチン-3のKOマウスに顕著な異常がみられ、これら分子が嗅上皮細胞配列形成に寄与することが示唆された。このネクチンによる細胞配列形成機序を明らかにするために、培養細胞にネクチンを発現させ、これらの細胞を混合培養して細胞同士の配列形成を観察して実証している。 これまでの実験結果は、The 23rd CDB Meeting Building multicellular systems from cellular cross-talk(2013年1月22日-23日、神戸理研CDB)にて報告(ポスター発表)した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた個体レベルの実験はほぼ終了している。接着分子ネクチンノックアウトマウスの嗅上皮を観察し、その細胞配列を解析した。 また、予定していた細胞レベルの実験も終了に近い。接着分子を発現させた培養細胞を作成し、これらの細胞を混合培養して細胞同士の配列形成を観察している。
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今後の研究の推進方策 |
嗅上皮頂端面側における細胞配列形機構を接着分子に着目して検討している。これまでの研究結果から、接着分子が嗅上皮の支持細胞と嗅細胞の配列形成に寄与することを証明する十分なデータを得ている。しかし、どの接着分子がどのようなメカニズムで細胞配列を形成しているのかを確証に導くためには、支持細胞と嗅細胞に発現している接着分子の種類を同定する必要がある。このために、嗅上皮の支持細胞と嗅細胞における接着分子の発現をin situ ハイブリダイゼーションで検討する予定である。 また、接着分子の細胞内ドメインと結合する蛋白のノックアウトマウスの嗅上皮を観察し、接着分子が細胞配列形成に寄与するメカニズムについて、さらに詳しく検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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