ポリアルギニン(9R)を用いた正円窓経由でのタンパク質内耳内投与に関する研究を行った。実験は概ね予定通り終了したが、一部予定と変更した。基礎的な実験でEGFP-9Rの単回投与に加えて2回投与での有効性を示し、処置語内耳障害のないことを示した。追加実験で投与後の正円窓膜(内耳内へのタンパク質の主な投与経路)の厚さを調べることでスポンゼルを用いた複数回投与の限界の可能性を示唆した。また、実際の難聴モデル動物への抗アポトーシス蛋白の投与は共同研究という形で他大学にしていただいた。難聴モデルは騒音難聴とし、難聴処置前のみ抗アポトーシス蛋白の投与を行い、当初の予測どおり内耳内感覚細胞のアポトーシスを抑制し、一部難聴を抑制する結果が得られた。 成果としては、H26年度だけでも2014年耳鼻咽喉科熊本県地方部会、2014年日本耳鼻咽喉科学会総会、2014年日本耳科学会総会などの国内学会での口頭発表に加えて、2014年Inner Ear Biologyの口頭発表、2015年Association for Reaserch in Otolaryngologyへのポスター発表と国際学会での発表を行った。国内外問わず多くの学会で発表することで、多くの質疑応答や成果を広めることが出来た。 現在データをまとめており、近日中に英語論文に投稿予定である。 また、今後の展望としては手術処置を必要としない点耳でのタンパク質投与法を検討中である。
|