急性中耳炎は幼小児期の代表的な細菌感染症であるが、近年難治化・遷延化例が増加し、大きな問題となっている。難治化の機序として、従来まで抗菌薬の無秩序な頻用による薬剤耐性の増加が要因と考えられてきたが、薬剤耐性化によらない難治化の機序、すなわちインフルエンザ菌がバイオフィルムを産生することにより急性中耳炎の難治化に関与する可能性が考えられている。本研究ではインフルエンザ菌のバイオフィルム形成および、バイオフィルムに対する治療戦略を実験的、臨床的に検討することにより、急性中耳炎難治化の病態解明および治療につながるエビデンスが得られ、抗菌薬使用の減少につながり、医療経済的に貢献するものと考えられる。
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