研究課題/領域番号 |
24791801
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
玉川 俊次 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40543781)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 頭頸部癌 / 転移 |
研究概要 |
近年、18~25塩基の蛋白をコードしない低分子量RNA(microRNA)が発見された。microRNAは標的メッセンジャーRNAの3’非翻訳領域に結合し、「ファインチューナー」として分化、増殖、アポトーシスなど遺伝子発現をさまざまな形で調整することが分かってきた。microRNA発現異常が癌の発現、浸潤、転移と関連することが次々と報告されており、microRNAを癌の治療・診断へ応用しようとする動きが世界中で活発化している。 前立腺癌や乳癌の細胞株を用いた研究では、microRNA200familyはE-Cadherinの転写抑制因子であるZEB1、ZEB2の発現を抑制し、転写抑制因子が抑制されることでE-Cadherinの発現を亢進させることが報告されている。しかし、頭頸部癌においてはmicroRNA200familyとZEB1、ZEB2、E-Cadherinの関係については十分明らかとなっていない。 本研究の目的は頭頸部癌細胞株を用いて、上皮間葉移行;EMT(Epithelial-Mesenchymal Transition)におけるmicroRNA200familyの役割を明らかとすることである。EMTの中でも細胞間接着因子であるE-Cadherin及びE-Cadherinの転写抑制因子であるZEB1、ZEB2について着目し、頭頸部癌細胞株におけるmicroRNA200familyとE-Cadherin、ZEB1、ZEB2との関係について検討を行った。また、microRNA200familyを頭頸部癌細胞株に導入することで引きおこされる運動能、浸潤能、増殖能などの細胞機能の変化についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頸部癌細胞株を用いてEMTの中でも細胞間接着因子であるE-Cadherin及びE-Cadherinの転写抑制因子であるZEB1、ZEB2について着目し、頭頸部癌細胞株におけるmicroRNA200familyとE-Cadherin、ZEB1、ZEB2との関係についてリアルタイムPCRを用いて遺伝子発現について検討を行った。また、microRNA200familyを頭頸部癌細胞株に導入することで引きおこされる運動能、浸潤能、増殖能などの細胞機能の変化についても検討した。さらに、microRNA200family の発現を亢進させてもE-Cadherin、ZEB1、ZEB2の発現に影響を認めない細胞株を認めたことからZEB1、ZEB2のメチル化についても検討した。結果以下のことが示された。 ・頭頸部癌細胞株においてmicroRNA141/200cとE-Cadherinの発現は正の相関関係、ZEB1及びZEB2とは負の相関関係を認めた。 ・microRNA141/200cの発現を亢進させることでZEB1の発現は抑制され、E-Cadherinの発現が亢進した。また、細胞運動能が抑制された。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部癌細胞株の中で、microRNA200family の発現を亢進させてもE-Cadherin、ZEB1、ZEB2の発現に影響を認めない細胞株を認めたことからZEB1、ZEB2のメチル化についても検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
microRNA141/200c Precursorのトランスフェクション実験にてmicroRNA141/200cの発現を亢進させるもE-Cadherin, ZEB1、ZEB2の発現に影響を受けない細胞株(UTSCC-60A、UTSCC-60B)が存在することが明らかとなった。UTSCC-60A、UTSCC-60Bをそれぞれ5-aza-2’-deoxycytidine (5-Aza-dC)にて脱メチル化処理しE-Cadherin、ZEB1、ZEB2、microRNA200c/141の発現変化について検討する。
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