研究課題/領域番号 |
24791801
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
玉川 俊次 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40543781)
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キーワード | マイクロRNA / 上皮間葉移行 |
研究概要 |
頭頸部癌細胞株においてmicroRNA141/200cとE-Cadherinの発現には正の相関関係、一方microRNA141/200c とZEB1、ZEB2の発現には負の相関関係を示した。また、舌癌の原発巣・転移巣からそれぞれ樹立された細胞株にmicroRNA141/200c PrecursorをトランスフェクションしmicroRNA141/200cの発現を亢進させることで、ZEB1の発現が抑制され、E-Cadherinの発現を亢進させることができた。細胞機能に関してはmicroRNA141/200c Precursorのトランスフェクションによって、運動能を抑制させることができたが、浸潤能、増殖能には変化を認めなかった。これは頭頸部癌にmicroRNA141/200cを導入することによって細胞の運動能、転移のリスクを低減させる可能性を示している。 一方、頭頸部癌細胞株の中にはmicroRNA141/200cの発現を亢進させてもZEB1、ZEB2、E-Cadherinの発現に影響を及ぼさない細胞株を認めた。それらの細胞株に対して脱メチル化処理を行うとZEB1、ZEB2の著しい発現亢進を認めた。これは頭頸部癌細胞株においてZEB1,ZEB2のメチル化がmicroRNA200family によるE-Cadherinの発現調節を阻害している可能性を示しており、頭頸部癌におけるEMTの分子生物学機序を解明する上で重要な結果と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では上皮間葉移行;EMT(Epithelial-Mesenchymal Transition)におけるmicroRNA200familyの役割について焦点を当て、頭頸部癌細胞株を用いてE-Cadherin及びE-Cadherinの転写抑制因子であるZEB1、ZEB2遺伝子の発現を検討できた。次にmicroRNA200familyを頭頸部癌細胞株にトランスフェクションし運動能、浸潤能、増殖能について細胞機能の変化について検討した。さらに、ZEB1、ZEB2遺伝子のメチル化について検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
・頭頸部癌細胞株においてmicroRNA141/200cとE-Cadherinの発現は正の相関関係、ZEB1及びZEB2とは負の相関関係を認めた。 ・microRNA141/200cの発現を亢進させることでZEB1の発現は抑制され、E-Cadherinの発現が亢進した。また、細胞運動能が抑制された。 ・microRNA141/200cの発現を亢進させてもE-Cadherin、ZEB1、ZEB2の発現が変化しない細胞株を認め、ZEB1、ZEB2のメチル化が疑われた 以上のことが明らかとなったため、今後、転移のバイオマーカーとしての役割りについての検討をすすめる
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次年度の研究費の使用計画 |
甲状腺未分化癌細胞株を用いた追加実験を行ったため 甲状腺未分化癌細胞株を用いた、マイクロRNA200familyのトランスフェクション実験を行う予定
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