研究課題/領域番号 |
24791808
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
渡邊 荘 昭和大学, 医学部, 講師 (20439491)
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キーワード | 副鼻腔炎 / 細菌叢 / microbiome / 16s rRNA / 次世代シーケンス |
研究概要 |
慢性副鼻腔炎は鼻閉・鼻漏・後鼻漏などの症状が続き、しばしばそれらによって患者の生活の質(Quality of Life)を損ねることもある疾患である。鼻・副鼻腔粘膜における炎症性細胞やそれらが産生する炎症性サイトカイン・ケモカインの関わりや治療として使われる抗菌薬・抗アレルギー薬・副腎皮質ステロイド薬の役割について申請者らはこれまで明らかにしてきた。今回申請する研究では、副鼻腔粘膜におけるmicrobiomeに関し、副鼻腔炎と健常者における差を検討し、疾患の早期発見への手掛かりを探ることを目的とする。慢性副鼻腔炎患者および健常者の中鼻道自然口ルートを綿棒で擦過して検体を採取し、従来のシーケンス法を用いて検体に含まれる細菌種を同定、microbiome の比較を行う予定であった。研究代表者が勤務する昭和大学病院での副鼻腔手術は年間約200件以上あり、その中から鼻茸合併例6例、非合併例6例を対象に患者からの検体採取を行うことを予定していた。症例数が豊富なため予定された検体数を得ることは困難なことではないと想定されていた。また、検体処理に関しても研究代表者がこれまでシカゴ大学において数百名の副鼻腔炎患者および健常者から綿棒で検体を採取しDNA 抽出に始まる一連の研究を行ってきており、実験によるトラブルは少ないものと見込まれていた。研究代表者はまず昭和大学医の倫理委員会に研究計画を申請し、承認後に研究に必要な物品を購入、検体の採取にとりかかった。採取された検体からDNAを抽出し、16s rRNA が検出されることをPCRにて確認した。現在454シーケンスシステムを用いて細菌叢の更なる解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでに慢性副鼻腔炎患者および健常者の中鼻道自然口ルートを綿棒で擦過して検体を採取し、従来のシーケンス法を用いて検体に含まれる細菌種を同定、microbiome の比較を行う予定であった。研究代表者が勤務する昭和大学病院での副鼻腔手術は年間約200件 以上あり、その中から鼻茸合併例6例、非合併例6例を対象に患者からの検体採取を行うことを予定していた。症例数が豊富なため予定された検体数を得ることは困難なことではないと想定されていた。また、検体処理に関しても研究代表者がこれまでシカゴ大学におい て数百名の副鼻腔炎患者および健常者から綿棒で検体を採取しDNA 抽出に始まる一連の研究を行ってきており、実験によるトラブルは少ないものと見込まれていた。 研究代表者はまず昭和大学医の倫理委員会に研究計画を申請し、承認後に研究に必要な物品を購入、検体の採取にとりかかった。採取された検体からDNAを抽出し、16s rRNA が検出されることをPCRにて確認した。 通常の臨床業務と学会関係の活動などに時間がとられ、検体数は予定数に達し当初予定していた次世代シーケンスを開始したがまだ終了しておらず、当初は平成25年度が最終年度であったが、終了できなかったために交付延長の申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シーケンスを行っている最中である。illumina と呼ばれる次世代シーケンス機器を用いて検体に含まれる遺伝子の塩基配列を決定し、微生物種の同定を行う。従来のシーケンス法によって得られたデータよりも遥かに多い微生物種の同定が可能だと考えている。得られた結果から、健常者と副鼻腔炎患者でmicrobiome に違いがあるのか、そして次世代シーケンスと従来のシーケンスでは同定できた微生物種にどれだけの差があるのか、統計処理を行って検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた次世代シーケンスが現在解析中であり、それにかかる費用がまた生産されていない。 シーケンスにかかる費用で次年度使用額の大半が使われる見込みである。また、消耗品など必要が生じた際に次年度使用額の一部を充てる予定である。
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