内耳発生後期に必要なラセン靭帯分化誘導シグナルは未だ同定されていない。ラセン靭帯と血管条は生後に成熟して、内リンパ電位の源となる聴覚に必須の蝸牛側壁を構成する。 平成25年度は切片 in situ hybridization法を用いて、内耳初期後期における転写因子Tbx18の発現パターンを観察した。Tbx18は、血管条中間細胞であるメラノサイトと接する間葉細胞ファイブロサイトを間葉上皮転換させるのに、重要な役割を演じている。胎生18.5日のPax3Cre/Creマウス胚におけるTbx18陽性細胞は、Wild typeマウス胚と比較して、著明に減少していた。これらの結果から、ラセン靭帯の成熟には血管条中間細胞からのシグナルが必要である可能性が示唆された。
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