研究課題/領域番号 |
24791814
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
乾 崇樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60465614)
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キーワード | 音響性聴覚障害 / 音響負荷モルモット / 細胞内Ca2+イオン濃度 / 内耳組織障害 |
研究概要 |
急性音響性聴覚障害は、強大音曝露により生じる疾患である。その病態生理についてはいまだ不明な点が多いものの、機械的障害、虚血、神経毒障害、代謝障害、内耳組成液のイオン不均衡やフリーラジカルの関与などが報告されている。本研究では、音響性聴覚障害モデルモルモットを作製し、これを用いてNO合成酵素(NOS)阻害剤、Ca2+依存性プロテアーゼ阻害剤、カルシニューリン阻害剤、フリーラジカルスカベンジャーの投与による治療効果を評価し、音響負荷による聴覚障害の病態解明と新規治療法を開発することを目的としている。 初年度(平成24年度)には、新規に音響負荷装置を構築し、モルモットを用いた音響性聴覚障害モデルを確立した。音響負荷装置や研究機器の構築にあたり、当初の計画から幾分かの変更を余儀なくされたが、初年度に基本的な機器のセットアップは完了した。この段階での予備実験で、他家によるマウスを用いた報告と同様の、音響負荷による蝸牛内直流電位 (EP) の変動が確認された。 続く平成25年度の計画として、モデル動物をコントロール群および薬剤投与群に分け、EPに加え、聴性脳幹反応、蝸牛神経複合活動電位、組織切片を用いた組織障害についての評価を行う予定であった。所属研究機関の基礎医学部門の協力のもとに組織障害の評価の実験を進めつつあったが、申請者は平成25年11月1日より米国ピッツバーグ大学耳鼻咽喉科に留学しており、他の基礎研究に携わりつつ、同時に本研究に有用な免疫組織学的な実験手技の習得に取り組んでいる。このため本研究は現在中断されているが、帰国後直ちに再開される予定である。留学期間の1年間は研究が中断、遅延するため、研究期間延長の申請も視野に入れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度初頭の研究計画では、作製したモデル動物を用い、音響負荷後の蝸牛内直流電位、聴性脳幹反応、蝸牛神経複合活動電位、組織切片を用いた組織障害についての評価を行い、コントロール群および薬剤投与群のデータを得る予定としていた。 このうち組織障害の評価については、所属研究機関の基礎医学部門の協力のもとに実験を進めつつあったが、申請者は、平成25年11月1日より米国の研究期間に留学しており、現在は研究が中断している。同研究期間で申請者は内耳に関連する基礎研究に携わっており、本研究に有用な免疫組織学的な実験手技の習得に取り組んでいる。なお、留学期間は1年の予定であり、本研究は帰国後直ちに再開される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究再開後、作製したモデル動物をNOS阻害剤投与群、プロテアーゼ阻害剤投与群、カルシニューリン阻害剤投与群、フリーラジカルスカベンジャー投与群の4群に分けて薬剤投与による介入を行い、コントロール群との比較を行う予定である。また、薬剤投与については、複数薬剤の投与の効果も検証する。 推進方策についてであるが、申請者は現在米国で手技の習得に取り組んでいる。このため研究計画に遅れが生じているが、平成26年11月に帰国し、直ちに本研究を再開する予定としている。留学期間が1年であり、この間の本研究の遂行ができないため、1年間の期間延長の申請も視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者の海外留学のため研究が中断しており、このため支出が無かった。 平成25年度の研究費として、前年度からの繰越金を合わせ、総額529,230円の予算が計上されていた。期間中、研究費の支出はなく、残高の面からは研究遂行への影響はないと考えている。 研究再開は平成26年11月の予定であり、次年度予算と合わせ、当初の予定通り、主に実験に用いるモルモットと薬剤の購入に充てる。
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