昨年度までの結果を基に、T細胞移入マウスを用いて鼻炎症状の検討を行った。Th9細胞移入マウスにおいてもくしゃみ亢進が認められ、Th9細胞が鼻炎にも関与していることが明らかとなった。しかしながら、他のサブセットにおいても同様の反応がみられており、Th9細胞特有の特徴とはいえなかった。そこで各種マウスを用いて、Th9細胞に特徴的な役割を明らかとするための検討を行った。鼻炎モデルにおいてはTh9細胞特有の特徴は明らかとできなかったものの、一連の検討をする中で、コントロール実験として行っていた喘息病態モデルにおいて、Th9細胞特有の特徴が明らかとなった。すなわち、正常マウスにTh2細胞ならびにTh9細胞を移入すると、抗原暴露によりどちらも好酸球浸潤がみられ、またメサコリンによる気道過敏性の亢進がみられた。そこで、好酸球欠損マウスを用いて、浸潤してくる好酸球の影響を排除したところ、Th2細胞を移入したマウスでは気道過敏性亢進が抑制されたが、一方、Th9細胞を移入したマウスにおいては気道過敏性亢進は抑制されないことが明らかとなった(2014年アレルギー好酸球研究会にて発表)。これは、Th2細胞による気道過敏性亢進とは異なり、Th9細胞はIgEや好酸球に非依存的に直接気道過敏性亢進を引き起こすことを示唆しており、すなわちTh9細胞自身が気管支収縮性のメディエーターを放出するエフェクター細胞として作用する可能性を示した。
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