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2013 年度 実施状況報告書

OTOF欠損マウスを用いたAuditoryNeuropathyの障害モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24791819
研究機関独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)

研究代表者

難波 一徳  独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚障害研究室, 研究員 (60425684)

キーワードOTOF / Otoferlin / 蝸牛神経節 / 蝸牛 / BDNF / TUNEL
研究概要

Auditory Neuropathy(AN)では、外有毛細胞は正常であるが聴性脳幹の反応がでない感音性難聴を呈する。申請者は、OTOF遺伝子欠損マウスの蝸牛神経節(SG; spiral ganglion)において、生後1日のSGの神経細胞数は、正常と比較したところ細胞数の変化は観られなかったが、生後4日のOTOF遺伝子欠損マウスは、正常マウスと比べてSGの神経細胞の数が45%以上著しく減少し、生後二週までに減少し続けることを世界に先駆けて発見した。OTOF遺伝子欠損マウスでは、新生仔の段階で既に有毛細胞からの化学信号が伝わらないことから、発生段階において何らかの発達阻害が生じたことが考えられた。
そこで、平成25年度では、このSGの神経細胞の著しい減少がどのような分子障害メカニズムによるものか解明する目的で、胎生18日から生後10日までの発達段階におけるSGの細胞死メカニズム(TUNEL染色)、および脳由来神経栄養因子(BDNF; Brain-derived neurotorophic factor)とその受容体(TrkB)の免疫組織染色を行った。
その結果、OTOF遺伝子欠損マウスのSGでは生後一日前の段階で著しい細胞死(TUNEL陽性の神経細胞)が認められ、また、同時期で正常マウスではBDNFの存在とTrkBのシグナルがみられたが、OTOF遺伝子欠損マウスでは共にシグナルが観られないことが解った。
OTOF遺伝子欠損マウスのSGの一連の解析により、新生仔の段階で有毛細胞からの栄養因子の分泌とその受容体による伝達が阻害されることにより細胞死を引き起こし、神経細胞の生存に影響を及ぼしているという病害メカニズムが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年より継続中であった胎生18日から、10日までのSGのカウンター染色による神経細胞の計測を完了した。更に生後一週間から生後12カ月まで網羅的に、OTOF遺伝子欠損マウスの蝸牛神経細胞の減少の追跡を行った。
また、SGの神経細胞減少の原因が細胞死にあること、また発生初期段階のSGでの神経栄養因子欠乏とその伝達機構の障害に原因があることを解明した。発達段階におけるANモデルの研究の要となる方向性へと展開できたことからおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

有毛細胞からの求心性シグナルが行かないことが原因となり、BDNFが減少し、アポトーシスが引き起こされるというメカニズムを証明するために、更に詳細な分子機序を解析する必要がある。また、治療や創薬を目的とし、OTOF遺伝子欠損マウスのSGで遠心性神経および求心性神経がそれぞれどこまで確認できるかどうか調べることも重要である。特に求心性神経が生きていれば人工内耳が有効であり、求心性神経が減少しているかどうか、またどのような分子機序により減少するか詳細に解析する必要がある。そこで今後の研究では、発生段階において、未成熟および成熟型シュワン細胞(遠心性)の数がどのように変化するかのように、特に求心性シグナルに着目した解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

年度末における本研究の一部であるマウス組織染色において、想定した結果と異なる結果が得られた。そのため、想定した結果に基づく試薬と比べると多少金額が上回る実験試薬が必要となり、それの購入に至ったため。
次年度で購入する予定であった試薬の代替品として、年度末に購入した試薬を引き続き使用し実験を行うこととし、次年度の研究に役立てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Auditory Neuropathyの特徴を示すOTOF遺伝子欠損マウスを用いた蝸牛神経低形成の新規モデル2013

    • 著者名/発表者名
      難波一徳、藤井正人、加我君孝、松永達雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130911-20130913

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公開日: 2015-05-28  

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