研究課題/領域番号 |
24791822
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加瀬 諭 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60374394)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | alpha-crystallin / VEGF / 血管新生 |
研究概要 |
加齢黄斑変性(Age-related macular degeneration : AMD)は先進国における高齢者の主要な失明原因の一つとなっている。滲出型AMDは視力を脅かす疾患の一つであり、異常な血管漏出をきたす脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)によって黄斑部に出血や滲出性の変化がおきる。CNVは、黄斑部網膜下に蓄積したドルーゼンを貪食するために浸潤したマクロファージを中心とした炎症細胞によって惹起されると考えられている。マクロファージなどの炎症細胞は、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)などの血管新生因子の産生源でもあり、炎症部位における血管新生の推進に関与している。 alphaB-crystallinは水晶体構成蛋白として発見され、今日水晶体のみならず感覚網膜、網膜色素上皮細胞にも発現されており、分子シャペロン機能を有する。近年我々は、alphaB-crystallinがVEGF蛋白と結合し、ヒト糖尿病網膜症の発達に重要であることを報告した。本研究では、ヒトAMDにおける線維血管増殖組織を使用し、alphaB-crystallinとVEGFの発現の相関を調べることを目的とした。過去の病理組織検体を解析したところ、AMDによる線維血管増殖組織は入手困難であった。他方、ヒトの網膜新生血管を発生するコーツ病の眼球摘出標本が収集可能であり、これにつきVEGFの発現を解析したところ、浸潤するマクロファージおよび剥離網膜に発現が見られた。マウスを用いたレーザー誘導CNVモデルでは、照射後7日でalphaB-crystallinの発現が誘導されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述のごとく、ヒトAMDにおける脈絡膜組織の収集は困難であったため、ヒトCNVにおけるVEGFとalphaB-crystallinの発現解析は困難である。この背景として、過去にはCNVに対して血管抜去術が行われており、同組織の入手は比較的容易であったが、術後網脈絡膜の萎縮を来たし、視力予後は好ましい結果ではなかったことが推測される。他方、抗VEGF薬や光線力学療法の発展により、血管抜去術は行われなくなりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
上述したヒトの網膜新生血管を生じるコーツ病の眼球において、alphaB-crystallinとVEGFの関連について解析を進める。他方、レーザー誘導CNVモデルでは、alphaA-crystallinの発現誘導はみられなかったため、alphaB-crystallinが選択的に誘導されることが示唆されている。従い、同モデルを使用して、alphaB-crystallinの発現が、mRNAレベルで起こっているか、確認する準備を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
ヒト脈絡膜新生血管組織の収集に時間を浪費し、平成24年未使用額が発生した。 上記未使用額は、平成25年度の実験用小動物の購入に充当する予定である。
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