研究課題
αB-クリスタリンはsmall heat shock proteinファミリーの一つであり、分子シャペロン機能を有している。私はこれまでに、αB-クリスタリンは代表的な血管新生因子の一つであるVEGFに結合し、その分解制御を行っていることを報告してきた。しかしながら、その現象がヒトの眼内血管新生において、機能しているか十分には解析されていない。私は以前にマウスレーザー誘導脈絡膜新生血管モデルを用いて、αB-クリスタリンとVEGFの関連について報告してきたため、本研究においてもまずはヒトで同様に両者の発現がみられるか、解析を進める予定であった。しかし、近年他方加齢黄斑変性に対して抗VEGF薬や光線力学療法などの治療が優性となり、血管抜去術は行われなくなり、ヒト脈絡膜組織を入手することは容易ではなかった。従い、硝子体手術時に採取された増殖糖尿病網膜症(PDR)患者の網膜前膜組織を用いて、上記の解析を行った。αB-クリスタリンは、網膜前膜の新生血管に発現がみられ、VEGFとの共発現も確認された。αB-クリスタリンの分子シャペロン機能はそのリン酸化を相関する報告があるため、我々はPDRの網膜前膜組織を用いて、αB-クリスタリンリン酸化を検討したところ、新生血管にセリン45,59のリン酸化がみられることを確認した。さらに、このセリンリン酸化にp38が関与していることも確認した。以上より、ヒト網膜新生血管では、αB-クリスタリンがVEGFの分子シャペロンとして機能していることが示唆された。
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