研究課題/領域番号 |
24791823
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
神田 敦宏 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (80342707)
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キーワード | (プロ)レニン受容体 / プロレニン / レニン・アンジオテンシン系 / 血管新生 |
研究概要 |
老化や生活習慣による炎症・血管新生が原因で引き起こされる網膜疾患[加齢黄斑変性(AMD)や糖尿病網膜症(PDR )など]の罹患者数 が近年急増している。申請者らのグループは、レニン-アンジオテンシン系(RAS)と受容体随伴プロレニン系(RAPS)がそれら網膜疾患に おいて重要な役割を担っていることを明らかにした。本研究では、組織発生や疾患における分子病態を制御し、受容体随伴プロレニン 系の鍵分子である (プロ)レニン受容体[(P)RR]の詳細な生理機能解析をはじめとして、生活習慣病発症における受容体随伴プロレニン 系および機能断片別(P)RRの関与をヒト正常・病態組織やトランスジェニックマウスなど用いて詳細に明らかする。昨年度は、病態における(P)RRの機能解析を行い、(P)RRがPDRにおける血管新生,つまり疾患の進行に関与する重要な分子であることを示した。 本年度は、(P)RRの生理的な機能解析を行った。photoreceptor特異的(プロ)レニン受容体欠損マウスを作製し、網膜における(プロ)レニン受容体の生理的機能の解明を行った。その結果、(プロ)レニン受容体はPar-aPKCシステムに関与し、網膜発生においてphotoreceptorの細胞極性を制御する機能を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の計画は、 ①網膜発生期における(P)RRの機能解析を行い、(P)RRは細胞極性を制御する機能に関与する重要な分子であることが示した。それらの研究成果をまとめ学術論文(Kanda A et al., J Neurosci)とした。さらに昨年度得られた病態における(P)RRの機能解析での成果を(Kanda A et al., Br J Ophthalmol. 2013; Kanda A et al., Twn J Ophthalmol.)としても報告した。 ②断片別(プロ)レニン受容体の機能解明に関しては、ヒト網膜cDNAライブラリーを用いたyeast two hybridを行い、候補となる分子を得る事が出来ている、現在それらを評価し、機能解析を進行している。
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今後の研究の推進方策 |
①yeast two hybridで得られた共役候補タンパク質の評価、②他眼疾患(緑内障、眼腫瘍)におけるRASおよび(P)RRの病態形成への関与解明、③(P)RRをターゲットとした創薬、を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に沿って、研究費は順調に使用されている。小額の研究費が残存したが、次年度の研究費として繰り越しをおこなった。 前述の検討が終了していない平成26年度に施行予定であった実験費用に使用する予定である。
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