研究課題/領域番号 |
24791824
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大口 剛司 北海道大学, 大学病院, 助教 (70579599)
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キーワード | VEGF-C / 翼状片 |
研究概要 |
本研究では、翼状片組織と健常結膜組織におけるVEGF-Cとその受容体であるVEGF-R3の発現について病理学的検討をすることを目的とした。VEGF-CとVEGF-R3の発現局在を明らかにすることにより、それらを標的とした新たな治療戦略につながる可能性がある。我々は、翼状片組織と健常結膜組織のリンパ管密度lymphatic vessel density(LVD)と血管密度blood vessel density(BVD)をそれぞれのマーカーであるD2-40とCD31を免疫染色し、同定した。結果として、翼状片において、正常結膜と比較し有意にLVDおよびBVDが高値を示すことが判明した。ヒト翼状片および正常結膜の総蛋白を抽出し、ウエスタンプロット法にて、VEGF-CおよびVEGF-R3について発現解析をおこなったところ、正常結膜に比較し、翼状片において、両者が高発現していることが判明した。ヒト翼状片および正常結膜の病理組織を用いて、VEGF-CおよびVEGF-R3の免疫組織科学的検討を行った。VEGF-Cは翼状片および正常結膜上皮細胞の細胞質に発現していた。加えて、問質に浸透するCD68陽性マクロファージにも発現がみられた。その上皮細胞における発現率は、正常結膜に比較し、翼状片において有意に高値であった。一方、VEGF-Rは問質のD2-40陽性リンパ管に発現していることが判明した。さらに、結膜上皮細胞にインターロイキン1βを投与すると、VEGF-Cの分泌が誘導された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
翼状片組織の収集、およびヒトリンパ管細胞の管理が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、結膜上皮細胞および翼状片において、VEGF-Cの発現制御機構の解明を進める予定である。培養結膜上皮細胞にインターロイキン1βやTNF αを種々の濃度で投与し、濃度依存性にVEGF-Cの発現が誘導されるか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
結膜上皮細胞へのインターロイキン1βを投与、TNFαの投与によるVEGF-Cの発現誘導の解析をするため。 培養結膜上皮細胞の購入、VEGF-C ELISAキットの購入、インターロイキン1β、TNFα製剤の購入費
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