研究課題
本研究では、翼状片組織と健常結膜組織におけるVEGF-Cとその受容体であるVEGF-R3の発現について病理学的検討をすることを目的と した。これまで我々はVEGF-Cは翼状片および正常結膜上皮細胞の細胞質に発現していることを確認した。加えて、その上皮細胞における発現率は、正常結膜に比較し、 翼状片において有意に高値であった。このことは、VEGF-Cが翼状片の発生、進展に関与していることが示唆された。従いVEGF-Cの発現制御機構を明らかにすることにより、それらを標的とした新たな治療戦略につながる可能性がある。そこで、我々は培養結膜上皮細 胞にインターロイキン(IL)-1βおよびTumor necrosis factor (TNF)-alphaを投与し、VEGF-Cの分泌を検討した。するとIL-1β投与後に培養細胞の上清中におけるVEGF-C濃度が有意に上昇する事が判明した。一方、TNF-alpha処理では、有意なVEGF-Cの分泌はみられなかった。さらに、IL-1β処理にて、培養結膜上皮細胞におけるVEGF-Cの遺伝子発現も誘導される事を確認した。翼状片、および正常結膜にてIL-1β受容体1の発現を免疫組織化学的検討にて解析したところ、翼状片上皮にて有意に陽性細胞率が高いことが判明した。以上より、翼状片におけるVEGF-Cの発現制御に、IL-1βを介する経路が関与している事が示唆された。
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臨床眼科
巻: 68 ページ: 219-224