研究概要 |
研究実施計画に則り、ヒト内因性ぶどう膜炎モデルである実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を惹起し、VAP-1 阻害薬を投与した。 マウスは6-7週齢 B10.BR マウスに視細胞間レチノイド結合蛋白由来合成ペプチド K2 200マイクログラムを結核菌増量完全フロインドアジュバントと混合してエマルジョンを作成し、皮下注射した。追加免疫として百日咳菌毒素0.1マイクログラムを静脈注射した。 VAP-1阻害薬は 1.0, 0.3, 0.1, 0.03 mg/kg(体重)を21日間連日腹腔内投与した。 しかし、ぶどう膜網膜炎の重症度が非投与群でも安定しなかった。調査の結果、以前安定的に用いていた生産者による B10.BR マウスの生産が中止されており、他の生産者による別の系統が販売されていた。 そこで改めてマウスを C57/BL6に変更して同様の実験を行った。ぶどう膜網膜炎は安定的に惹起されるようになった。VAP-1 阻害薬投与により、21日目(炎症極期)の組織学的重症度、臨床的重症度はともに軽症化する回としない回がみられた。臨床的重症度の途中経過をみると、10日目で薬剤投与群が 0.7、非投与群が 3.1、14日目で薬剤投与群が 1.3、非投与群が 3.1 といずれも薬剤投与群で有意に軽症化していた(P<0.01, P<0.05)。 VAP-1阻害薬は最高重症度には影響しないが発症速度を遅くする可能性もあり、再現性の確認が必要と考えている。
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