研究概要 |
研究実施計画に則り、ラットにエンドトキシン誘導ぶどう膜炎(EIU)を惹起し、ウニ殻由来抗酸化色素エキノクロームを投与してその抗炎症効果を検討した。その結果、エキノクロームの投与時期、投与量、投与経路を変えて検討し、安全かつ有効な実験プロトコールを確定することができた。8週齢ルイスラット(180―220g)に大腸菌由来リポ多糖(LPS)200 マイクログラム を 300マイクロリットル の溶媒に希釈して皮下に注射。エキノクロームはLPS 投与と同時に PH7.4 の PBS を溶媒として 10, 1, 0.1 mg/kg(体重)を試験投与量とした。 EIU誘導24時間後にラット前房水内の炎症細胞数を計測すると、エキノクローム投与 10, 1, 0.1 mg/kg 群ではそれぞれ 115, 198, 3080 千/ml であった。エキノクローム非投与群(陽性対象)では 2880 千/ml であった。無処置正常ラット前房水内(陰性対象)には炎症細胞はみられなかった。エキノクロームは有意にラット急性ぶどう膜炎モデルを軽症化し(p<0.01)、その効果は濃度依存的であった。 続いて前房水中の炎症性サイトカイン TNF-alpha の濃度も測定した。炎症細胞数の結果と同様にエキノクローム 10, 1 mg/kg 投与群で有意に TNF-alpha 濃度が抑制されていた。 本年度の研究で、エキノクロームが急性ぶどう膜炎モデルを濃度依存的に軽症化させることがあきらかになった。 有効濃度や投与条件が確定したため、今後さらに免疫組織学的炎症評価、炎症関連分子の解析を進める予定である。
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